駅前の飲ん平横丁は立ち退き問題で大騒ぎ。小料理屋の八太郎、とんかつ屋の安吉、ホルモン焼屋の敬一の三人は、中でも一番強硬な反対組だ。今日も集まって、小料理屋の板前大塚太郎も加わって知恵をしぼっている。第百商事の植田は、この横丁に何カ月もツケをためているC調な男だが“立ち退き料とひきかえに借金を棒引きに”と申し出たが、中国人の資本で中華大飯店が出るのに気が滅入った三人は、あくまでも頑張った。植田は、こんな三人をしりめに、単独で中南公司にのりこみ、汪社長を訪れ、汪の持つ香港のビルと交換に、立ち退きを交渉した。意気ようようと帰った植田は飲ん平横丁の住民をまるめて香港に行くことになった。会社を辞めて香港に行く植田に、経理課の浜野は一緒につれていって欲しいと頼んだ。又、飲ん平横丁の流しの石井、桜橋も香港行きと決った。商売の運転資金は、ラクダビールの社長にたのみこみ、三千万の融資をさせた。さて香港にのり出した一行八人は、汪のビルに日本レストラン「菊花亭」を開店したが、五日たっても客はゼロだった。植田の窮余の一策で香港のメインストリートにちんどん屋を繰り出そうとしている時、日本人のショーダンサー麻美と、混血歌手中美樹子に会った。ともかく、計画通りチンドン屋をくり出した植田は法律にふれて留置場行きとなった。翌日汪の助力で釈放されたものの一同ガックリ。がそこへ新聞で見て駈けつけて来た麻美らの協力を得てチンドン屋のバンドは香港一のナイトクラブに出演することになった。そこで土地の有力者張に気に入られた一行は、「菊花亭」をバック・アップしてもらうことに成功し、江戸っ子の香港上陸作戦は大成功に終った。