“ニセ札旋風、日本に上陸!”と植松唯人が書いた「週刊トップ」のスクープは日本中を騒然とさせた。国民に不安を与えまいと秘密捜査を進めていた警視庁でも、これを機に総力をあげての公開捜査にふみきり、捜査一課の花井部長刑事と乾、市橋両刑事も畑違いの仕事にかりだされた。がこのスクープで一番あわてたのはニセ札偽造団で、組織の秘密がもれては一大事と、殺し屋をさしむけて植松を狙った。一方、植松は自分の記事が大間題になっているとはつゆ知らず、相変らず発明熱にうかされていた。このスクープも、もとはといえば、親友の発明狂谷井と組んで作った天然色複写機を実験していた最中、材料に使った一万円札が、ほかの一万円札より色が薄いことに気づいたことがはじまりなのだ。また植松の自称恋人の産業クラブに勤める谷井の妹悦子は、森垣金融の社長久美子を通じて知りあった大社長の御曹子石崎に、しつっこく追いまわされていた。これを知った植松は気が気でなく、谷井にたのんで、悦子の居所が一目でわかる探知機を作って貰った。ところがニセ札組織の魔の手は悦子にまでおよび、ある日悦子は何者かに連れ去られてしまった。あわてた植松と谷井は探知機を頼りに悦子を追った。だが、この二人の行動を怪しいとにらんだ刑事三人がその後を追い、さらに殺し屋たちが、それに続いた。こうして善悪入り乱れた追撃戦が東京を振り出しに、名古屋、犬山、岐阜、神戸と続き植松はこのピンチをもちまえの機転と大冒険の連続できりぬけた。こうしてやっとの思いで、ニセ札偽造団のひそむ、潜水艦にたどりついた植松と谷井だが、悦子との対面もつかの間、一味につかまってしまった。そしてニセ札偽造団の本拠地に連行された二人は、生きていたヒットラーに死刑を宣告されあわやという時、二人をつけてきた刑事たちの連絡で、国連軍連合艦隊が出動し、本拠地に砲撃を加えた。あわてふためいた偽造団は谷井がいたずらしたミサイルによって自爆してしまった。悦子は、植松の命がけの愛をうけいれ、二人はハネムーンに旅立っていった。