白川道子は親友のエリ子と共にW大学に入学し、“イタリア文化研究所”に入った。部は全員で六名という小さなものだったが、道子たちの好きなカンツォーネをやっていた。ところが、万年学生の小橋が授業料に窮して楽器を質入れしていて、部の運営が行きづまっていた。そこで道子は“園まりそっくりショー”に出て賞金を稼ごうとした。道子は園まりにそっくりだったから、見事当選して二万円をせしめた。だがそれも小橋の授業料のため半分消えてしまった。それで今度は、道子たちみんなでアルバイトをすることになった。そんなある日、道子の前に五人組が現われ、園まりのマネージャー谷井のところに連れていった。谷井は、二十万円のお礼をするから園まりの代役をやってくれと道子に願んだ。園まりは喉の病気で声が出なくなったのだ。道子は喜んで、一週間の約束で承知し、さっそく園まりとして活躍を始めた。そして部の方には新しい楽器を贈ってあげた。だがカメラマン梶貫太郎は園まりの挙動に不審を抱いていた。いつもの園まりとどこか違っているのだ。梶は道子につきまとって真相をさぐった。ある日、園まりが苦手な英語を流暢に話したことから、梶は園まりの正体を見破った。だが何故かそれを暴露する気にはなれなかった。そんな梶に道子は恋するようになった。しかし梶にはすでに婚約者恵子がいた。道子は潔ぎよく自分の片想をあきらめ、深夜のしストランで全てを打ち明けた。梶は、平凡な女の子としての幸福をつかんで欲しいと道子に言うのだった。やがて約束の一週間が過ぎ、道子は平凡な女の子にかえって大学へと戻っていった。