ある晴れた日のハノイ。青年突撃隊を乗せたトラックの隊列が、南北両ベトナムの首都を結ぶ国道一号線を南下して行った。この部隊は独身女性が大半を占め、破壊された道路や橋の補修、時限爆弾や不発弾の処理を主任務としていた。北ベトナムの最南端で南からの砲弾の飛び交うビンリン、クワンビン地区に向かう突撃隊をもっとも励ましたのは、各地で不屈に闘う同胞の姿だった。四、五〇キロもある高射砲をかつぐ七四歳の老人民兵。ベトナムの星といわれる闘いの象徴、ハムロン橋を死守する兵士。学習のかたわらに八〇ミリ砲の訓練をする女学生。国民は「破壊にはそれ以上の建設を」というスローガンのもと一致団結している。一七度線直下のビンリン、クワンビン地区。アメリカが「石器時代に戻してやる」と豪語したこの地区の住民は、地下壕の中で生活していた。が、抗米救国のために闘いつづける人民の顔は意外に明るい。それは、豊かな大自然を味方に闘う自国が、誰も負けると思っていないからである。