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風の中の牝雞

  • かぜのなかのめんどり
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  • 平均評点

    73.9点(146人)

  • 観たひと

    219

  • 観たいひと

    13

  • レビューの数

    40

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1948
公開年月日 1948/9/17
上映時間 82分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング 一般映画
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ/スタンダ-ド
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル
上映フォーマット 35mm

スタッフ

キャスト

出演佐野周二 雨宮修一
田中絹代 雨宮時子
三宅邦子 井田秋子
笠智衆 佐竹
村田知英子 織江
文谷千代子 房子
東野英治郎 彦三
長船フジヨ あや子
青木放屁 正一
長尾敏之助 医者
岡村文子 女将
清水一郎 古川
三井弘次 男A
坂本武 家主
谷よしの 看護婦

解説

「受胎」につぐ久保光三の製作で、「シミキンの結婚選手」の斎藤良輔と小津安二郎の協同脚本を「長屋紳士録」以来の小津安二郎が終戦後第二回作品として監督する。カメラは「長屋紳士録」の厚田雄春が「旅裝」についで担当。主演は「噂の男」「追跡者」につぐ佐野周二と「夜の女たち」につぐ田中絹代で、「富士山頂(1948)」「肖像」の三宅邦子、「手をつなぐ子等(1948)」の笠智衆、「受胎」の村田知英子等が共演し、ほかに殿山泰司に岡村文子、文谷千代子、三井弘次(秀男改名)らが出演する。

あらすじ

間借り生活の時子は、小さい浩をかかえ、まだ復員してこぬ夫修一の帰りを待ちわびていた。時子は頼りにしている友達秋子を時折訪ねては一枚、二枚の着物を託し、それを同じアパートの織江に買ってもらうのだった。今日も時子は秋子を訪れた。織江はそうした時に「時子さん、きれいだからその気になりゃ、こんなことしなくってもいいのに--」というのだ。その日家に帰った時子は、突然の浩の発熱におどろきうろたえて近所の病院へはしった。浩は急性大腸カタルであった。何本も注射が打たれ、そしてようようのことで命だけはとりとめることが出来たが、次に時子の上にふりかかって来たものは病院の支払いであった。彼女はどうすることも出来なかった。迷った時子の足は織江を訪ね、そして月島のいかがわしい家に、知らぬ男との一ときをすごしてしまった。数日後浩は無事に退院した。秋子は織江の口から時子のことを知っておどろき、時子をなじった「何故私にいってくれなかったの……」だが時子にしてみれば、貧しい秋子に相談して秋子を困らせたくなかったのだ。それにしても何という馬鹿なことをしてしまったのだろう。時子は、犯したあやまちの大きいことに今更胸をしめられる思いであった。そうしたある日突然夫修一は帰って来た。修一はつい最近浩が病気をしたことを知り、病院の支払いをどうしたかとたづねるのに、時子はハッと胸がつまって答えることが出来ない。何か疑惑を感じた修一に強く問いつめられ、ついに時子は何もかもいってしまうのだった。修一はガク然として苦しんだ。苦しいままに、何かつきつめた気持ちで、時子が過ちを犯した家へいってみる。その家で、彼のところへやって来たのは房子という若い女で、働けない父と小さい弟を養っているというのだ。修一は不思議に心がやわらぎ、その女に真面目な仕事をみつけてやると約束して帰った。その様にほかの女について許すことが出来る修一も、家へ帰って妻と向かい合うとやはりだめなのだ。ただもう夫に許しを乞うばかりの時子の姿が、かえって修一の気持ちをいらだたせ、また外へとび出してしまおうとする。時子はおろおろとすがりつくのだ。気のたつ修一がをれを突きとばしたひょうしに時子は階段から転落した。--「時子!時子!」。修一は時子を愛していたのだ。可愛想だと思っていたのだ。それだけに時子のあやまちを許せなかった修一も、今はすぎた時子のあやまちにこだわっていることが更に二人を不幸にすることに気がついた。これから長い生活をしなければならない夫婦である二人の幸せをつくるために、愚かであるがしかし愛しい妻のあやまちは、知性と意志をもってゆるさなければならない。「もう二度と考えるまい、大きな気持ちになるんだ、もっと深い愛情をもつんだ、笑って信じあうんだ」修一はかたく時子を抱きしめて、時子に、そして自分にいいきかせるのだった。彼の腕の中で、時子は、涙にぬれた顔をあげてうなづいていた。

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