(第一部)戦いであれた京の町。今日も人形使いのとび助は町角で人形芝居を子供達に見せています。芝居が終って子供達からお金をとり集めるとお福ちゃんという女の子だけが金を払わず、いくら跡をついて来ちゃいけないと言ってもついてくる始末、とび助はかけ出し、見つからぬようかくれていると、人さらいが来てお福をさらって行きますので、とび助は勇をこして人さらいと大格闘をしましたが、なぐられ、くすぐられてとうとうのびてしまいました。もともと余り利口でないとび助は益々ボーとなり、一番苦手なくすぐったい感じも頭がどうかしたためかちっとも感じなくなってしまいました。さてこのお福ちゃんは戦のためお母さんと別れ別れになり、お母さんは日本で一番高い山のふもとで生れ、そこへ行けば、きっとお母さんに会え、そしてそこに生えている黄金の実をたべるととび助の頭の悪さもなおるだろうと聞き、二人は日本一のお山を目指して旅立ちました。途中、がっかり沼でどろだらけになり道を曲げる大男にあったり、くるしみ峠で熊に追っかけられ、見晴し御殿の武士にすくわれたり、数々苦しい目にあいましたが望みを捨てず前進し、今度は恐ろしい土グモの精につかまり穴倉で水責めにあいました。(第二部)あわや水死という所でお福のお守り袋で命が助かり、毒グモはみんな水にのまれてしまいました。あれから二人は暗い街道にさしかかり、とある茶屋のばあさんに「この先には鬼が出る深い森があるが……」と驚かされ、一晩やっかいになると、真夜中、隣の障子にうつる鬼婆の姿、あわてふためき逃げ回る二人は追いつめられてとうとうくだんの森に迷い込んでしまった。鬼は益々体が大きくなり可愛いいお福を喰おうとするが、危や一瞬という処、お福の機転で谷底へ墜落する。だが二人は谷をへだてて別れ別れになってしまった。お福を探し歩きとび助は“いかさま町”へ来、そこで見世物小屋の看板どおり、インチキロクロ首のお福に再会出来るが、親方が種をのぞいたとび助につめよる時、力自慢の大男が親方を突飛ばして危く助かる。また二人になれて足も軽く進みました。そして二人は死の谷で散々よう怪、大入道になやまされ、一番鶏が鳴く時お福ととび助の前に朝日に輝く富士山がそびえ、お福が思い焦がれていたお母さんにも会えてとび助の頭をよくする黄金の実(ミカン)を食べ、お福はとび助のわきの下をくすぐると、とび助は堪らなくなって奇妙なかっこうをしました。