行方知れずのギリシャ最古の映画フィルムを探し求め、動乱のバルカン半島を彷徨する映画監督の旅を描き、20世紀における映画と歴史と政治の相克に深い瞑想をめぐらした壮大な叙事詩映画。監督は「こうのとり、たちずさんで」などの現代ギリシャ映画の巨匠テオ・アンゲロプロス。『オデュッセイア』をモチーフに、脚本はアンゲロプロスと、「シテール島への船出」以来全作品で組む「夜ごとの夢」のトニーノ・グエッラのコンビにペトロス・マルカリスが参加。製作は「霧の中の風景」のエリック・ユーマン、ジョルジオ・シルヴァーニ、アンゲロプロス夫人のフィービ・エコノモプロス。撮影のヨルゴス・アルヴァニティス(共同アンドレアス・シナノス)、録音のタナシス・アルバニティス(ヨルゴスの弟)、音楽のエレニ・カラインドルーはアンゲロプロス作品の常連スタッフ。主演は「ピアノ・レッスン」「スモーク」のハーヴェイ・カーテル。一人四役を演じるヒロインは、ルーマニアを代表する女優で本作が日本初登場となるマヤ・モルゲンステルン。共演はイングマール・ベルイマン作品で知られる名優エルランド・ヨセフソンほか。また「旅芸人の記録」のエヴァ・コタマニドゥはじめ、「シテール島の船出」のドーラ・ヴォラキナなど、アンゲロプロス作品の出演者が特別出演。95年カンヌ国際映画祭グランプリ(審査員特別大賞)・国際映画批評家協会賞受賞。96年度キネマ旬報外国映画ベストテン第2位。