1960年代の江ノ島。12歳のなぎさは、4年前に漁師の父を亡くし、今は居酒屋を営む母とふたりで暮らしている元気な女の子。彼女にとって、その年の夏休みは生涯忘れられない夏休みとなった。ポータブル・レコード・プレイヤーを手に入れる為、伯母が経営する海の家でバイトを始めたなぎさ。従姉の不良娘・麗子の影響を受けてパーマをあてたり、アメ車を乗り回す麗子のイカした彼氏とダンパに出かけたり、東京から帰省してきたリッチな美少女・真美に意地悪をされたりと毎日様々なことが起きる。だが、中でも東京からやってきた病弱な少年・洋との出会いは大きな出来事だった。砂浜で漂着物を収拾しているという洋に泳ぎを教え、彼と初めての恋、初めてのキスを体験した。ところが、そんな洋がひとりで泳いでいて溺死してしまう。夏の終わり。切ない想いもしたけれど、いろんな経験もたくさんした。ちょっぴり大人になったなぎさは、貯めたバイト料で念願のレコード・プレイヤーをゲットする。