1949年。そこは、第二次世界大戦が回避されたもうひとつの日本。19世紀からの華族制や財閥支配が継続された帝都は、極端な格差社会となっていた。揺るぎない富を享受するのは、特権階級にあるごく一部の華族だけだった。そんな中、裕福な華族のみを狙って骨董や美術品を盗む怪盗がいた。世の人々は彼を怪人二十面相、通称「K-20」と呼んだ。貧民街で暮らす人々を喜ばせるサーカス団のエースである遠藤平吉(金城武)は、その敏捷な身のこなしを認められて、謎の紳士(鹿賀丈史)から奇妙な依頼を受ける。それは、怪人二十面相を追いかける名探偵である明智小五郎(仲村トオル)と財閥の娘である羽柴葉子(松たか子)の結納の儀を写真に収めるというものだった。しかし、依頼は罠だった。その撮影の途中で正体がバレた平吉は、小林少年(本郷奏多)や浪越警部(益岡徹)から怪盗二十面相の嫌疑をかけられる。「違う! オレは二十面相じゃない!!」そんな平吉の声も虚しく、彼は全国指名手配されてしまう。孤絶した平吉にとっての味方は、サーカス団の源治(國村隼)とその妻の菊子(高島礼子)、そして二十面相から襲われたところを平吉から救われた葉子たちくらいのものだった。それまで華族として暮らしていた葉子は、平吉と生活を密着することで貧民たちの実態を知る。敷かれたレールを歩んでいた彼女にとって、それは大きな衝撃だった。一方、二十面相との対決を決意した平吉は、変装や逃走の術を泥棒たちから学ぶ。抜群の資質を持つ彼は、もうひとりの二十面相と言ってもいい力量を得た。やがて二十面相と平吉、直接対決の時が来た。世界の支配を狙う二十面相の正体は、明智小五郎だった。そして間一髪のところで、平吉は葉子に救われる。そしてお互いの立場を理解した平吉と葉子は、ともに愛情を感じながらも、別々の道を歩んでいくことを決意した。