現代。日本軍の潜水艦長だった祖父を持つ倉本いずみ(北川景子)のもとに英文の手紙が届く。それは第二次世界大戦当時、米軍の駆逐艦長だった人物の孫娘からのもので、いずみの祖母、有沢志津子(北川景子・二役)の署名入り楽譜が添えられていた。なぜ、日米が戦争状態にあった時代にこの楽譜が米軍人の手に渡り、60年以上に渡って保存されてきたのか。真実を知ろうと、いずみは祖父を知る唯一の生存者、鈴木(鈴木瑞穂)を訪ねる。鈴木はいずみに64年前の夏、1945年8月の体験を語り始める。第二次世界大戦末期。日本は米海軍の燃料補給路を断つ目的で沖縄南東に潜水艦部隊を配備。作戦に参加するイ-77の艦長、倉本孝行(玉木宏)とイ-81の艦長、有沢義彦(堂珍嘉邦)は海軍兵学校時代からの親友で、倉本と有沢の妹、志津子は互いに想いを寄せる仲だった。出航前、倉本は音大生だった志津子が彼の無事を願って作曲した“真夏のオリオン”の楽譜を受け取る。そこには、“オリオンよ、愛する人を導け”という手書きのメッセージが添えられていた。彼らに立ち向かうのは米軍駆逐艦パーシバル。艦長のマイク・スチュワート(ディビッド・ウィニング)は、日本軍の攻撃で弟を失っており、潜水艦撃沈に執念を燃やしていた。日本側の二重三重の防衛ラインを突破したパーシバルは、有沢のイ-88と対峙。有能な指揮官として知られた有沢だったが、スチュワートの奇策に敗れてしまう。最後の砦は倉本のイ-77。知力と体力の限りを尽くして、一歩も引かずにパーシバルに立ち向かう。だが、時間と共に被害は拡大。酸素残量が1時間となったイ-77は劣勢に立たされる。人間魚雷での攻撃を志願する特攻隊員たちに倉本は、“俺たちは生きるために戦っているんだ”と説き伏せる。やがて最後の攻撃を決意した倉本は、“真夏のオリオン”の楽譜を胸に起死回生の策に挑む。