第2次大戦前夜の1939年。ハーバード大学入学をめざすウィン・ベリー(ボー・ブリッジス)は、メイン州アーバスノットのホテルでアルバイト中に、同郷のメアリー(リサ・べインズ)と出会い恋におちた。そこはユダヤ人フロイト(ウォーレス・ショーン)と熊の曲芸を売りものにしているホテルだった。ウィンは、いつしか熊のいるホテルを経営したいと思うようになっていた。メアリーと結婚したウィンは5人の子供の父親になった。ウィンは、祖父アイオワ・ボプ(ウィルフォード・ブリムリー)がフットボールのコーチをしている高校で教師をしていたが、家族全員がいっしょにいられることを理由にいよいよホテル経営にのり出した。メアリーの母校である女学校を買いとって改築されたホテルは、「ホテル・ニューハンプシャー」と名付けられる。子供たちは、このホテルで成長していく。同性愛者の長男フランク(ボール・マクレーン)、美しくてしっかり者の長女フラニー(ジョディ・フォスター)、姉を熱愛する次男のジョン(ロブ・ロウ)、成長のとまった文学少女の次女リリー(ジェニー・ダンダス)、そして耳の不自由な三男エッグ(セス・グリーン)。ハロウィンの夜、フラニーは、彼女に好意を寄せていたフットボール部のダブ(マシュー・モディーン)とその仲間にレイプされる。こうした様々な出来事や青春の悩みに戸惑いながらも、月日は流れていった。はじめは順調だったホテル経営も祖父の急死の頃から傾き始めた。そんなある日、消息の絶えていたフロイトから、熊のいるホテルを手に入れたので、ウィーンに来て経営を手伝って欲しいと連絡が入る。こうして一家はオーストリアに渡ることになった。しかし、メアリーとエッグが途中飛行機事故に遭い死んでしまう。ウィーンは予想に反してすさんでいた。フロイトはナチの為に盲目になっており、熊のぬいぐるみを着た内向的な娘スージー(ナスターシャ・キンスキー)は心に深い傷を持っていた。なじみのない土地でホテルのたて直しに心血を注ぐ一家。だが、第2の「ホテル・ニューハンプシャー」も軌道にのった頃、ホテルをアジトとしていたエルンスト(マシュー・モディン2役)を中心とするテロリストたちが、一家を巻き込んだオペラ座爆破を企んでいた。一家は、すんでのところで事件を未然に防ぐが、フロイトは命を落とし、ウィンも視力を失った。オペラ座を救った一家として、また同時に、リリーが書いた一家の物語『大きくなりたくて』がベスト・セラーになったため、一躍有名となった一家はスージーを連れてアメリカに戻った。全てが順調に運び、豊かな生活を送る中、フラニーとジョンは、遂に姉弟の一線を超える。しかし、2作目の小説が成功しなかったリリーは、“大きくなれなくてごめんなさい”という言葉を残してホテルの窓から飛び降り自殺をしてしまう。多くの愛する者たちを失ったベリー一家は、遂に思い出の地アーバスノットにたどり着いた。ウィンが抱き続けてきた夢が、ようやく実現したのだ。フラニーは、一家を何かと助けてくれていた黒人のジョーンズと結婚し、姉への想いをふっきったジョンは、新たにスージーと愛を育む。彼の愛に支えられ、スージーはようやくぬいぐるみを脱ぎ捨てた。彼らの新しい人生が新たな「ホテル・ニューハンプシャー」で始まろうとしていた。