バツイチの35歳、大森桃子(鈴木杏樹)は、青森県八戸のメガネ販売店で店長として働いている。それまで住んでいた実家のある弘前から転勤してきたばかりだが、既に店の後輩の宮内桜(武田梨奈)たちから頼られ慕われる存在となっていた。だが彼女は離婚によって心に深い傷を負い、人生を前に進ませる勇気が持てずにいた。そんなある日、桃子は桜に誘い出され、しぶしぶ街コン風地酒パーティに参加する。「人数合わせ要員でバツイチ」とおどけて名乗った桃子の前に遅れて現れたのは、40代後半の無精髭の男で皆からクマゴロウと呼ばれている佐久間五朗(宇梶剛士)だった。桃子は、彼を見た途端、遠い記憶が一瞬蘇ったような感じに襲われ、驚き戸惑う。子供の頃から時々見ていた不思議な夢の中の太古の森を通る風の感触を感じたのだ。クマゴロウは遺跡発掘一筋の考古学研究員で、一万年以上の間、平和に続いたという縄文時代に畏敬の念を抱いていた。数日後、クマゴロウは桃子に陸奥湊市場や蕪島神社など八戸の街を案内。桃子はクマゴロウに、子供の頃から見ている太古の森の夢のことや彼と出会った瞬間に感じた風の感触を語る。すると彼は職場である是川縄文館に桃子を連れて行き、八戸から出土した国宝の合掌土偶を見せる。そして彼女に縄文時代の代弁者として何か表現してみることを勧めるのだった。数日後、クマゴロウに教えてもらいながら是川一王寺遺跡で発掘作業を体験した桃子は、土器の欠片を発見、同じこの場所で生きた人々の命、さらにはその土地と繋がった不思議な感覚を感じる。やがて桃子は、夢の風景をイラストに描き始める。縄文時代の衣装を纏い、弓を手にした少女の姿や風が抜ける深い森……。何枚か描き上がったものをクマゴロウに見せると、彼は涙ぐみ、その少女の名を“ライア”と名付けた。だが“縄文時代”が繋いだ心豊かな時間をクマゴロウと共有しながらも、桃子は本気で恋することに臆病なままだった。何かと桃子を慕ってくる桜にだけは、誰にも言えなかった離婚の原因と心の痛みを打ち明けていたが、それはクマゴロウとの未来に踏み出すことをためらわせている原因でもあった。そんな中、クマゴロウは、縄文晩期の日本と交流があった可能性のあるベトナムへと調査に飛ぶ。彼の手首には、お守りとして桃子が編んでくれたミサンガがあった。ベトナムの島に赴いたクマゴロウは、皆が共に笑って暮らせることが願いだという部族長の姿に、縄文時代のシンプルで心豊かな生き方に通じるものを感じていた……。