東日本大震災から1年後の福島。15歳の吉川敬介(柴田龍一郎)は、仮設住宅で避難生活を送る中学生。放送部に所属する彼は、機材が津波で流されたため、中学生活最後の夏に作品制作ができないことを他の部員たちと共に悔しがっていた。そこへ、見知らぬ中国北東部の小さな村・石岩鎭から、取材の依頼が舞い込んでくる。期待と不安を胸に、果てしない平原が広がる中国へ旅立つ敬介たち。彼らを招待したのは、村の長老・金成義(田中泯)。その口から語られたのは、67年前の昭和20年夏、15歳で勤労動員としてソ連と満州の国境近くの報国農場に送られた新京第一中学校の生徒120名の壮絶な体験だった。そして、取材する場所は当時、少年たちが敗戦から帰国まで彷徨ったソ満国境の土地。次々と明らかになってゆく67年前の出来事。ソ連軍による突然の爆撃に始まり、ソ連軍捕虜収容所での50日に及ぶ過酷な生活。解放後、衰弱しきって彷徨う少年たちを救ったのは、当時“石頭村”と呼ばれた石岩鎭の村人たちだった。憎い日本人を助ける必要はないという村人たちを村長が説得し、各家庭が数人ずつ、少年たちに食事と寝る場所を提供。少年の1人である金森(三村和敬)から、自分たち日本人を助けてくれた理由を尋ねられた村長は“中国の村人が日本人を助けたことによって、これからの世代にどんな新しい歴史が生まれるのか楽しみにしている”と語った。その言葉に心動かされた金森は、自分が朝鮮人である事実を明かし、石頭村に残ることを決意。この金森少年こそ、敬介たちを村に招待した金成義だったのだ。67年前の少年たちの過酷な体験に言葉を失いつつも、震災と原発事故で避難生活を余儀なくされる敬介たち放送部員にとっては、その体験が他人事とは思えなかった。やがて、貴重な取材を終えて帰国した敬介たちを、更なる事実が待ち受けていた……。