イタリア・シチリア島。青い海と眩しい太陽。そんな明るいイメージから遮断されたように暗い印象に覆われたカタルド神父の教会。科学や医療では解明できない問題や悩みを抱える人々が、毎日列をなしている。彼らは、一様に問題の原因が悪魔の仕業だと信じていた。神父が手をかざし、祈りのことばを唱えると信者は床に倒れこみ、獣の如き唸り声を上げ、悪魔の声で叫ぶ。場が異様な空気に包まれるなか、神父は悪魔が退散したと告げ、渾身の儀式が次々と繰り返されてゆく。精神的な症状に悩む主婦、厳しい父親に対する反抗にも思えるが突然暴言を吐き出す少女、素行不良で両親から家を閉め出された少年……。カメラは、そんな悩みを抱えた人々の日常をも捉える。そしてカタルド神父のもとには、今日も多くの人が押し寄せ、教区の者だけでなく、遠方から足を運ぶ者も神父に“祓い=癒し”を求めるのだった。