朝秀晃(窪塚洋介)は、ボクシングの元東洋チャピンオン。今は後遺症の頭痛に悩みながら、警備員として働いていた。そんな彼のささやかな楽しみは、“マル”と呼ぶ野良猫の世話をすること。ところが、そのマルが突然、行方不明に。保護されているかもしれないと訪れた保健所で出会ったのは、マルを引き取り、“リリイ”と名付けたと語る梅津郁巳(降谷建志)という男だった。ある時、秀晃が元東洋チャンピオンであることを知った警備会社は、彼にボディーガードの仕事を任せる。それは、シングルマザーの女・土屋冴子(市川由衣)をストーカーから守ること。そのストーカーとは、冴子の元恋人、玉木敏郎(品川祐)。喫茶店で話し合う2人を、少し離れた席から秀晃が見守っていたところ、その店に偶然、郁巳が現れる。話し合いがこじれた2人を止めに入った秀晃に郁巳が加勢したことで、警察沙汰に。これをきっかけに、玉木は次第に狂気じみた行動を取るように。冴子が息子の隼人を預けている託児所に届けられる下着姿の冴子の写真。さらに玉木は託児所にも侵入。危険を感じた冴子は、隼人を養護施設に預けることを決意。それを送り届けることになる秀晃だったが、免許も車もないため、郁巳が手を貸すことに。こうして2人はいつしか、互いを“マル”、“リリィ”と呼び合うようになる。無事に隼人を養護施設に預けた直後、玉木に襲われた冴子を間一髪で救う秀晃と郁巳。ところがそこへ黒塗りの車に乗った2人組の怪しい男が現れ、冴子を連れ去ろうとする。辛うじてそれを防いだ2人に、冴子は驚くべき事実を告白。かつて東京でデリヘル嬢として働いていた冴子は、ある大物政治家を罠にはめる手伝いをしたというのだ。ホテルで写真を撮り、政治家を脅迫。結局、その写真は世に出ずに終わったが、政治家は今でもその写真の存在に怯え、冴子もろとも抹殺を企んでいるらしい。冴子を救うため、2人は一発逆転を狙うが……。