一本の川を挟んで“朝9時から夕方5時まで”規則正しく戦争を続ける津平町と太原町。津平町に暮らす露木(前原滉)は、真面目な兵隊だ。朝から川岸に出勤し、お昼は気まぐれなおばさんの定食屋へ。夕方になれば、物知りなおじさんの煮物を買い、家に帰って眠るだけ。川の向こうの太原町をよく知る人はいない。だけど、とてもコワイらしい。そんなある日、露木は突然、音楽隊への人事異動を言い渡される。家で埃を被ったトランペットを引っ張り出したものの、明日からどこへ出勤すればいいのやら……。そんな中、ひょんなことから、向こう岸から聞こえてくる音楽を耳にする。その音色に、少しずつ心惹かれていく露木。その頃、町では“新部隊と新兵器がやってくる”という噂が広まっていた……。