婚約者にあっさりフラれ、人生のどん底にいた市役所職員・赤西民夫(田中圭)。横浜で一人空虚な日々を送るなか、上司からの勧めで、飼い主に捨てられて保護犬になった真っ白な大型犬を飼うことに。その犬はワンと鳴けず「ハウッ」というかすれた声しか出せない。民夫は“ハウ”と名付け、1人と1匹の優しくて温かい日々が始まった。最初は戸惑うことも多かったハウとの暮らしだったが、何をするにもいつも一緒な“ふたり”の絆は次第に深まり、いつしかかけがえのない存在となっていく。だがある日、突然ハウが姿を消す。あらゆる手段を尽くしてハウを探す民夫。そんな折、無情にも「ハウによく似た白い大型犬が事故死した」という情報がもたらされるのだった……。だが、横浜から遠く離れた北の地でハウは生きていた。偶然のアクシデントが重なり、ハウは青森まで運ばれてしまったのだ。ハウは民夫の声を追い求め、青森から横浜を目指して走り出す。そんななか、苦しみもがき続ける民夫は、現実に少しずつ向き合おうとしていた。同僚の足立桃子(池田エライザ)は、民夫のそばで優しく寄り添う。一方、ハウは民夫を探して走る道中、悩みや孤独、悲しみを抱える人たちと出会う。震災の風評被害に心を痛める女子中学生・麻衣(長澤樹)、愛する夫(石橋蓮司)を亡くし、ひとりで傘屋を営む老女・志津(宮本信子)、深刻なDV被害に遭い修道院のシェルターに保護された若い女性・めぐみ(モトーラ世理奈)。人々の心を癒しながら、長い旅路を経て、ハウは民夫と再会することができるのか……。