26歳の折村花子(松岡茉優)は気合に満ちていた。幼い頃からの夢だった映画監督デビューが、目前に控えていたからだ。だが物事はそううまくはいかない。滞納した家賃は限界で、強制退去寸前。花子の若い感性をあからさまにバカにし、業界の常識を押し付けてくる助監督からは露骨なセクハラを受け、怒り心頭だ。そんな時、ふと立ち寄ったバーで、空気は読めないが、やたら魅力的な舘正夫(窪田正孝)と運命的な出会いを果たし、ようやく人生が輝き出す。ところがその矢、卑劣で無責任なプロデューサーに騙され、花子は全てを失ってしまう。ギャラももらえず、大切な企画も奪われた。失意のどん底に突き落とされた花子を励ますように、正夫は問う。“花子さんは、どうするんですか?映画諦めるんですか?”。イナズマが轟く中、“舐められたままで終われるか!”と反撃を決意した花子が頼ったのは、10年以上音信不通の家族だった。妻に愛想を尽かされた父・治(佐藤浩市)、口だけはうまい長男の誠一(池松壮亮)、真面目ゆえにストレスを抱え込む次男の雄二(若葉竜也)。そんなダメダメな家族が抱える“ある秘密”を暴き、“自分にしか撮れない映画で世の中を見返してやる!”と息巻く花子。突然現れた2人に戸惑いながらも、花子に協力し、カメラの前で隠していた本音を徐々に見せ始める父や兄たち。修復不可能に思えたイビツな家族の物語は、思いもよらない方向へ進んでいき……。