テル(吉田美月喜)は学業が優秀だったため女学校への進学を希望し、優れた成績を残すが、アイヌというだけで不合格となる。その後、大正6年(1917年)、アイヌとして初めて女子職業学校に入学するが、理不尽な差別といじめを受ける。ある日、アイヌ語研究の第一人者である兼田教授(加藤雅也)が東京から列車を乗り継ぎ、テルの叔母イヌイェマツ(島田歌穂)を訊ねてくる。アイヌの叙事詩であるユーカラを聞きにきた兼田は、叔母のユーカラに熱心に耳を傾け、「アイヌ民族であることを誇りに思ってください。あなた方は世界に類をみない唯一無二の民族だ」と語る。兼田の言葉に強い感銘を受けたテルは、やがて兼田の勧めでユーカラを文字で残すことに没頭するようになる。アイヌ語を日本語に翻訳した出来栄えの素晴らしさから、兼田のいる東京で本格的に取り組むことに。同じアイヌの青年・一三四(望月歩)と叔母に見送られ東京へと向かったテルはこのとき、再び北海道の地を踏むことが叶わない運命であることなど思いもよらなかった……。