1995年にジバンシィ、1996年にはクリスチャン・ディオールと、世界的ブランドに次々と抜擢され、“ファッション界の至宝”と称えられたファッション界の革命児ジョン・ガリアーノ。しかし、絶頂期にあった2011年2月、反ユダヤ主義的暴言を吐く動画が拡散。その後有罪となり、ブランドから解雇され、すべてを失った。事件から13年たった今、ガリアーノ本人がカメラの前で“洗いざらい話す”と語るドキュメンタリー映画が完成。ガリアーノの人間性にも踏み込み、最大のミステリー“暴言の背景には何があったのか?”に斬り込んでいく。年32回のショーを抱え、超人的な仕事量をこなしながら、相次ぐ大切な人の死に遭遇し、アルコール依存症も加速、“ゆっくりと死に向かっていた”と自ら暴露するその闇とは……。映画は、大胆なスタイルで世界中を魅了していったガリアーノの栄光の道程を、デビューから各ブランド時代の超豪華なコレクションを収めた貴重なアーカイブ映像と共に振り返りながら、彼を診断した精神科医や“今も心の傷が癒えない”と語る事件の被害者にもカメラを向ける。そこから浮かび上がるのは、現代の大きな問題でもある“キャンセルカルチャー”。美しさと醜さ、賢明さと愚かさ、愛と憎しみ、幸福と絶望……。全編に人間存在の謎と魅力が詰まった必見のヒューマン・ドキュメンタリー。