渡辺淳一の原作は未読。京都の老舗料亭、美しい4姉妹など明らかに谷崎潤一郎の「細雪」を意識しての原作と思うが、桜から始まる本作も、市川崑監督の「細雪」('83)を意識している。松坂慶子は双子の妹で、姉は伊丹十三との不倫のうえ自殺したという設定。腹違いの妹に池上季実子と和由布子、母親は京マチ子。池上は、竹脇無我と不倫して無理に子供を産んで京に勘当されるも、孫が生まれたらあっさり許されるという、公開時は、大した映画ではなかったと思う。しかし、今となっては松坂と池上の絶頂期の美しさが残されていることに価値がある。京マチ子の最後の映画出演作でもある。「無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ」('73)から10年もブランクがあった時代劇中心の大映出身の池広一夫監督が、何故この女性映画の監督になったのかが謎。長尾啓司が脚色と助監督となっているが、実態は長尾が監督していたのだろうか。
【特集:「細雪」と映画の中の姉妹たち】