チェンジリング(2008)

ちぇんじりんぐ|Changeling|CHANGELING

チェンジリング(2008)

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レビューの数

123

平均評点

78.5(961人)

観たひと

1674

観たいひと

164

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 2008
公開年月日 2009/2/20
上映時間 142分
製作会社
配給 東宝東和
レイティング PG-12
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「許されざる者」、「ミリオンダラー・ベイビー」で2度のオスカーに輝く名匠クリント・イーストウッドが、「ウォンテッド」のアンジェリーナ・ジョリー主演で贈る感動のドラマ。1920年代にアメリカで起きた、警察による子供の取り違え事件を映画化。警察を敵にしながらも、行方不明の息子を取り戻そうとする母親の姿を描く。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1928年、ロザンゼルス。クリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)を抱えたシングルマザー。彼女は息子の成長だけを生きがいに、日々を送っていた。だがある日突然、ウォルターが自宅から姿を消す。警察に捜査を依頼するクリスティン。そして5ヵ月後。警察からウォルター発見の朗報が。だが、クリスティンの前に現れた少年はウォルターではなかった。すぐさま、少年が別人であることをジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)に訴えるクリスティン。だが、警察の功績を潰されたくない警部は“容貌が変わっただけだ“と取り合わない。繰り返し再捜査を願い出るが、逆に警部に依頼された医師が彼女のもとを訪れ、自分の息子がわからなくなったクリスティンに問題があると診断を下す。時間だけが過ぎていく中、彼女のもとにグスダヴ・ブリーグレブ(ジョン・マルコヴィッチ)と名乗る牧師から電話が入る。警察の腐敗を追及する彼は、新聞で事件を知り、クリスティンの危機を察知して連絡してきたのだった。ブリーグレブを味方に、息子を探すクリスティンの戦いが始まる。だが、それを知った警察は彼女を精神病院に入院させる。そこで知ったのは、彼女同様、警察に反抗して精神病院送りにされた女性が多数いるという事実だった。ブリーグレブの尽力でクリスティンは何とか退院できたものの、ウォルターの行方は依然として知れない。そこへ、郊外の農場で子供の死体が発見される事件が発生。被害者の一人がウォルターである可能性が出てくる。これにより、人違いを認めた警察だったが、ウォルターが農場で殺されたと早々に断定する。これを聞いたクリスティンは、あくまで警察と戦い、息子を取り戻すことを決意。やがて、逃亡犯ゴードン・ノースコット(ジェイソン・バトラー・ハーナー)が逮捕される。事件発生から7年、彼女が知る真実とは……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2009年4月上旬号

評論家発映画批評:「チェンジリング」

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2009年3月下旬号

特別企画 いま、アメリカ映画は本当に面白くないのか?:短評「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」「チェンジリング」「フロスト×ニクソン」「ミルク」

2009年3月上旬号

REVIEW 外国映画:「チェンジリング」

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2023/01/04

2023/01/04

70点

レンタル 
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人は自分の失敗を認めないのは分かるが、それを隠すためにどんなに異常な手段でもってしてでもやるんだな、権力者は。

行方不明になった息子を探し求める母親の深い愛を描いたヒューマンなドラマ、というのが封切り時の時の印象であった。

ところが今回、DVDで鑑賞したらこの映画のテーマはそこではなく、当時のロス警察の腐れ切った体質を批判している社会派ドラマだった。
警察が母親が追っている息子と間違えて別の子を連れてきたのに、自分のミスを認めない。それどころか、別の子だと主張する母親を精神異常者として病院に強制入院させて、そこで拷問をするわでこの酷さ、犯罪組織と何が違うのかと思うくらい。自分のミスを隠すためには、この母親の口封じになんとも荒っぽいことをしている。ここで描かれるエピソードが映画だからということで、話を盛るとか脚色したとか言うのではなく、ほぼ事実だそうで、当時のロス市警の極悪ぶりには呆れてしまう。

権力者側の不正や腐敗ぶりを描く、ということは良く考えて見れば、これはそれをテーマにするのはいかにもクリント・イーストウッドらしいといえば、彼らしい題材だったのだ。
彼も反権力のスタンスを持っており、母親の愛情よりも、彼女がただの一般市民ながら、巨大な権力と立ち向かうところに、興味を示したのだろうと思う。

とはいえ、結局息子は連続少年誘拐殺人鬼の餌食になってしまったというあまりにも残酷な結末を迎えてしまい、痛ましいことになる。だが母親は息子がどこかで生きていると一生、探し続けたという。これも事実ならなんとも凄まじい話だろうと思い、最期の字幕でロス市警の腐敗などどこかへすっ飛んでしまう。だからこそ最初の鑑賞の時は母親の愛情が心に残ったのだ。

もちろんヒューマニズムの点からも視野に入れてはいるだろうが、クリント・イーストウッド監督ならば社会派的な視点がより重要だったように思える。

この映画、クリント・イーストウッドと共に「アポロ13」などの中堅の監督として活躍しているロン・ハワードもプロデューサーとして名を連ねている。もしかして、最初はロン・ハワードが監督するつもりだった?

2022/08/29

80点

VOD/U-NEXT 
字幕


チェンジリング

ある日、自分の息子が行方不明になり、警察が取り戻した息子が明らかに別人ならどうしますか? しかも警察は母親の訴えを握り潰した。これが実話だというから、驚きます。精神科医を使って母親をノイローゼに仕立てて、警察は体面を保とうとした当時のロサンゼルス市警の腐敗ぶりに、驚きます。タフな女性を演じることが多いアンジェリーナ・ジョリーが、普通の母親を熱演していて、よりサスペンスに説得力を与えています。警察に逆らう者は、コード12という名称で精神病院に閉じ込められるのも、驚きでした。思わぬ方向から真相が明らかになる終盤の展開に、背筋が凍りつきました。

2022/07/02

2022/07/02

87点

VOD/U-NEXT 

・匠のイーストウッド監督 史実であり、ジェットコースターのように展開する映画を過剰に盛り上げるのではなく、リアルに積み上げ説得力を持たせる 最後はハッピーエンドでは無いものの希望を持たせる展開も流石です
・前半の交換局と子供の生活から行方不明、警察との捜索、違う子供の引渡し、警察への訴えから精神病院への収監、精神病院での苛烈な扱いと同時に描かれる殺人犯の逮捕、警察腐敗を訴える公聴会と犯人の裁判と社会運動、後半の犯人の対峙から死刑執行 詰め込むだけ詰め込んでも素直に理解できる交通整理力 すべての展開に説得力があり、どんどん主人公のコリンズ夫人に感情移入していく展開 文句なしの作品
・警察の腐敗や都合のいい捜査手法 警察という明確な悪が存在し、さらに胸くそ悪い精神病院も手先となって動いている 両方の存在に対して観客に強烈な嫌悪感を抱かせること強い推進力となる 不遜な態度で胸くそ悪いジョーンズ警部、警察の保身に動くLA警察本部長、完全に警察の手先の病院医師、感情無しで女性たちに拷問のような医療行為を行う無表情な看護師たち 彼らのむかつく人間性を表現する演技が素晴らしく、本当に胸くそ悪い気分に
・真摯に対応してくれる牧師や弁護士、真実を追求し真犯人を追う刑事 彼らの存在がこの映画を胸をすく展開に導き、公聴会や社会運動の展開につながる この部分のカタルシス表現も素晴らしい
・圧倒的なアンジョリーナジョリーの演技力 警察組織の卑劣な妨害に負けず、意志の強い目力で息子の生存を願う行動には胸を打たれる
・終始、息子の生存の可能性を匂わす展開も巧み 死刑前の犯人の電報には殺害を記しながら、面談時には嘘を付けない(地獄に落ちたくない)ことから殺害を話さず、数年後に一緒に逃げた少年を登場させる コリンズ夫人や観客にも希望を与えるラスト
・この映画の基となった1920年代の話が実に興味深い

・10年以上前に鑑賞していて、精神病院の展開があまりに強烈で胸くそ映画として記憶 再鑑賞してみるとあまりに自然な展開と、希望を残す最後 実に良い映画でした

2022/01/27

100点

映画館/新潟県/ユナイテッド・シネマ新潟 
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【究極の自己屹立】

強い信念と究極の自己屹立(自立)のドラマだ。 誰の自立だろうか、勿論主人公クリスティンコリンズの そして私の自立だ。

「喧嘩は売るな、自分で決着をつけろ」劇中二度示される言葉。
一度は息子に信条として、 二度目は信条=心情の強い一枚岩[信念]として。
その事を[たった一目]で解すシンパシスト・エイミーライアン。 と同時に私はその事を[言葉も無い階段上下の切り返し]によって[たった一目]で解してゆく。
テーマの訴求・心理描写・話法、その全てが簡潔でありながら見事に合致しており 私はどこまでも作品世界に降りてゆく。

二つの腐敗が一つに重ね合わされる終盤の[聴聞会と裁判の二ヶ所のカットバック]。 [息子の永劫喪失を暗示する窓辺のショット]。 暴力が暴力を生み被加害逆転の危険を示した[面会室に閉じ込められるクリスティンコリンズ]。
全編描写はさり気なく的確 そして最低限で、映画にエンターティメントとしての抜群のテンポを与えると共に、これ見よがしの意匠(主張・説明)の排された【[監督主体]ではない[観客主体](自立)】としてゆく。

それは、神父の結論にクリスティンが盲目従属(神の使者が示した絶対的な答への客体化)せず 自ら信ずる答を確立する(主体・自立)事と列なってゆく。

ラストにクリスティンが窓辺に別の少年を見る、しかし彼女の目には自らの息子の姿が映るのだ(イーストウッドは【目に見えているものによって 目に見えないものを映し出す】)。
ここで私は完全にアンジーになる。感情移入だとか もし私が彼女の立場だったら等の次元じゃなく[クリスティンその人]に。


私は(クリスティンは)誰の目にも映る示された答ではなく、誰の目にも見えない[私だけの答]をそこに見つけたんだ。




《生涯最高峰級認定/劇場観賞×3》

2021/07/07

2021/07/07

95点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
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イーストウッドの最高傑作

 魂を揺さぶられた。時は1920年代~30年代、所はアメリカ・ロサンゼルスで起こった小児誘拐事件(実話)を、当時の世相を背景に、イーストウッドらしい抑えた語り口で淡々と描いている。社会の混乱の中でも貫いた母親の執念の思いが、既成の社会矛盾を切り裂いた。当時のアメリカは、あれほど無秩序の社会であったのか、また、取り締まる側の警察組織もあんなに倫理欠如していたのかと驚いた。そんな中で、良心を持った個人が、一人の刑事が、牧師が、裁判官が母親を助けることにより、勝利と言うにはほど遠いが、母親はこれからも戦いつける確固たる信念を築いた。ラストで'今は希望を持つことができる'と母親に言わせることで、これからの彼女の生き様を暗示させる。むなしいが、前に向かって健気に進む母親の姿に魂を揺さぶられた。それは酷い時代だったでは済まされない思いが自分に芽生えるからだ。時代は違えど、今も社会に矛盾は尽きない。自分達の姿勢が問われている。例えば、香港はそんな社会に思えてならない。
 母親を演じたのがアクション女優アンジェリーナ・ジョリーで、この人がこんな演技ができるのかと思うほど、抑えた演技で、内向きだが芯の強い役を見事に演じた。
 個人が社会の矛盾に果敢に闘いを挑むテーマはイーストウッドの作品群に共通しているが、本作は際立ってすばらしい。前半は時代の雰囲気を背景にしながら、淡々と、事件と関係する人間模様が描かれる。後半、一転して、サスペンス含みの展開で一気に事件の真相に迫る展開は迫力ある。イーストウッドの演出は切れ味するどく、無駄なカットはひとつも無い。当時の雰囲気を醸し出す、映像と音楽もバツグンだ。イーストウッドの最高傑作だろう。
 イーストウッドをローハイドの頃から見続けている者として、新作が待たれる。

2021/05/03

2021/05/03

90点

選択しない 


警察そのものが腐敗した権力。腐ってる人間が多数の世の中にも、やはり正義はあり、それがサイレントマジョリティとなっている。

人間の本質は正しい行いをしたいと思って生まれてきたと私は思っている。牧師と弁護士正義感あふれる人達とてもカッコ良かった。

子供を失った母親はもう見たくない。