太陽の帝国(1987)

たいようのていこく|Empire of the Sun|----

太陽の帝国(1987)

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レビューの数

44

平均評点

68.8(304人)

観たひと

564

観たいひと

40

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル アクション / 戦争
製作国 アメリカ
製作年 1987
公開年月日 1988/4/29
上映時間 0分
製作会社 アンブリン・エンターテインメント作品
配給 ワーナー映画
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

第2次大戦下の中国を舞台に、日本軍の収容所の中で過ごす11歳のイギリス少年の成長過程を描く作品。J・G・バラードの自伝的色彩の強い同名の小説を基に「カラーパープル」のスティーヴン・スピルバーグが監督・製作。共同製作にキャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル。脚本は「未来世紀ブラジル」のトム・ストッパード、撮影は「ハリーとヘンダスン一家」のアレン・ダヴュー、音楽は「イーストウィックの魔女たち」のジョン・ウィリアムス(2)が担当。出演はクリスチャン・ベール、ジョン・マルコヴィッチ、ミランダ・リチャードソンほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1941年、クリスマスを迎えた上海。英国租界の邸宅に両親と暮らすジム少年(クリスチャン・ベール)は、学校の勉強よりも空を飛ぶことに心を奪われていた。上海にも侵略しつつあった日本軍の「零戦」のパイロットになることが夢だった。両親とともに出かけた仮装パーティもジムには退屈で、お気に入りの零戦の模型飛行機を片手にパーティ会場から抜け出し、野原へと出た。そこには撃ち落とされた日本軍の戦闘機が無残な姿をさらしていた。ジムはコックピットに入り、いつしか自分が大空を飛ぶ姿を思い描く。迫ってくる戦争を前に、ジム一家も上海から脱出する準備を始めたが、時すでに遅く、日本軍が怒濤の如く市街に進攻してきた。砲弾、銃声の飛び交う中、両親と離ればなれになってしまったジムは1人で生きていかなければならないことを、身をもって悟る。飢えに苦しんでいるところを救ったのは、ベイシー(ジョン・マルコヴィッチ)とフランク(ジョー・パントリアーノ)の2人のアメリカ人であった。ある夜、2人を邸宅に連れてきたところを日本軍に襲われ、ジムら3人は捕虜収容所へと送られる。収容所では両親の友人であるヴィクター夫人(ミランダ・リチャードソン)と出会うが、彼女自身ももはや自分が生き残るためだけに必死だった。やがて、ジムら捕虜たちは蘇州の収容所へと移されていく。そこで知り台ったローリング医師(ナイジェル・へイヴァース)から、どんなことがあっても最後まで生き延びろと教えられるのであった。ジムは精神的にも肉体的にも大きく成長していき、捕虜のボス格となったベイシーの使い走りとして収容所内を忙しく立ち回る。日本軍側のナガタ軍曹(伊武雅刀)にも近づき、少しでも多くの食料を受けようとする。自分と同じように空を飛ぶことに憧れる日本人少年(片岡孝太郎)とも心を通わせるようになった。そんなある日、米空軍ムスタングが収容所を急襲し、戦争は終結へと向かう。ジムは脱走するベイシーに見捨てられ、他の人々とともに南島(ナンタオ)まで移動。その途中、ヴィクター夫人が息をひきとる。一瞬、東の上空に美しい閃光が走った。それは長崎に落とされた原爆の光だった。戦争は終わった。そしてジムは日本人少年と再会し言葉を初めて交わすのだが、ベイシーの仲間によって日本人少年は撃ち殺されてしまう。泣き叫び憤りをぶちまけるジム。彼は、いつしか大人への扉を開けていた。やがてジムは戦災孤児の集まる施設で両親と数年ぶりの再会をするが、彼は両親の顔も何も覚えていないほどであった。少年の日々とは確実に違う、新たな生活が始まろうとしていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1988年7月下旬号

外国映画紹介:太陽の帝国

1988年5月下旬号

外国映画批評:太陽の帝国

1988年5月上旬号

グラビア:太陽の帝国

特集 太陽の帝国:評論

特集 太陽の帝国:製作者 インタビュー

特集 太陽の帝国:主演少年 インタビュー

特集 太陽の帝国:ロング・ストーリー

1988年3月上旬号

キネ旬試写室:太陽の帝国

2024/01/09

2024/01/09

55点

購入/DVD 
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別に避けていたわけではなかったが何故かこれまで見る機会がなかった。ようやくの初見。1941年の上海。何不自由なく暮らしていたイギリスの金持ちのボンボンが日本軍侵攻の騒動の中両親からはぐれて苦労する話。スピルバーグの演出はここでも印象的な事象の羅列で物語が流れていかない。もとはデイビッド・リーンの企画だったらしいがリーンの勧めでスピルバーグが監督することになったという話を聞いた。デイビッド・リーンで見たかった。

2023/06/15

2023/06/17

70点

テレビ/無料放送/BS朝日 
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ちょっと違うなぁ・・

スピルバーグ監督作品の中でもちょっと異色な感じがする。太平洋戦争を題材にしているが、どちらかと言えば置き去りにされた英国少年のサバイバルが主となっている気がする。そして、戦争を終結させたとする原爆の表現について、う~んどうなのかなぁと思う。

2022/08/27

2022/08/28

75点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
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劇場公開以来の30数年ぶりの鑑賞。
敵国日本とは言え強く猛々しく美しいゼロ戦への憧れ。されどそのゼロ戦に対して終盤に描かれる米国の戦闘機の爆撃時の歓喜。少年の素直な感情が戦争自体の善悪の垣根を越えていく。
この少年を演じたクリスチャン・ベールのデビュー作。

2021/06/19

2021/06/19

-点

レンタル/東京都/ゲオ 
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少年のサバイバル成長譚

スティーブン・スピールバーグのアジア太平洋戦争へのまなざしは、後にHBOで『ザ・パシフィック』といったドラマシリーズを製作することになるのだけれど、「かなり前から持っていたんだな」ということがわかる。そういえば、『ジョーズ』に登場するロバート・ショウ演じるクイント船長も広島、長崎に投下するための原子爆弾を運搬する極秘任務を担った重巡洋艦・インディアナポリスの乗組員だったことを告白する。

今回、初めて『太陽の帝国』を見たが、自身のフィルモグラフィーの中でいわゆる軍人の視点とは異なる戦争映画を撮り続けていく出発点となった貴重な一作とも言えるのではないか。その後、スピールバーグは、『シンドラーのリスト』、『プライベート・ライアン』、『戦火の馬』と稀有な視点で戦争を捉えた作品を監督し、ドラマの腕を磨いていった。

太平洋戦争前夜、上海にイギリスの租界地があったことなど全く考えたことなどなかった。租界地の住人たちは、そこそこ優雅な生活を送ることが出来ていたしある意味、日中戦争を意識する機会も少なかったに違いない。真珠湾攻撃とともに太平洋戦争が始まり、租界地は日本軍に接収される。この租界地で何の不自由もなく暮らしていた一家が離散し、12歳の少年ジェイミーは、1945年の戦争終結まで過酷な状況をたったひとりで生きていかざるを得ない。租界地から上海市街、蘇州収容所と少年のサバイバル人生が描かれる。主人公の少年ジェイミーを、子役時代のクリスチャン・ベールが演じている。

少年が戦争に翻弄されひとり見知らぬ地を彷徨いサバイバルする。精神的に成長を果たす。一方で心に大きな傷も負う。原作は無数にいるそんな傷を抱いた少年時代の体験を綴ったもの。『デビルス・バックボーン』、『ライフ・イズ・ビューティフル』、『異端の鳥』など、後の映画に登場してきた少年少女たちの負った深い心の痛みをあらためて想起した。

幼い子どもたちには、国民意識も、戦時下の敵味方も、被害加害の認識も無い。現に本作のジェイミーは租界地で生まれ国籍のあるイギリスに一度も足を踏み入れたことはない。殺人兵器という意識なく日本軍の零式戦闘機を信奉する。その一方でP51マスタングを「空のキャデラック」と呼び憧れる。どちらも自分にとってはカッコいいものという意識しかない。何が敵で何が味方かという意識そのものがない、ただ苦境の中、生き残ることで精一杯である。少年の苦悩の末の成長譚、戦争作品に限らずこれもスピールバーグ作品の一つの大きなテーマといえよう。

2020/11/12

2020/07/17

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
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零戦への憧れ

ネタバレ

自伝小説の映画化である。
西洋人でありながら、極東の日出ずる国の美しく高性能な戦闘機である零戦。あこがれてしまうのも無理もない。
そんな少年の空想と現実の入り混じった世界が描かれている。
先の大戦において、日本はとてつもない事をやっていた。現在の我々からすれば信じられない。そんな幻の帝国があったのだと思う。
それは、日露戦争に勝った事で、ソ連に苦しめられた国にとって日本はヒーローである。日本はいかにスケールのデカい戦いをしたことか。そう思わせてくれる映画である。

2019/07/12

2019/07/12

80点

テレビ/有料放送/スターチャンネル 


置き去りにされた少年のサバイバル

時は日米戦争の開戦直前から、大戦の終結まで。
上海で裕福な両親と別れ別れになった少年が、日本軍の収容所でしたたかに生きていく様子を描いている。
原作者のJ・G・バラードはSF作家として知っていたので、太陽の帝国もSFだろうと思って読んだが、そうで無くてがっかりした記憶がある。映画もかつて見たことがあるが、当時は退屈だった。改めて見てみると飛行機好きの少年が、一夜にして変化した世界を戸惑いながらも乗り越えていく感動映画だった。
日本人の飛行機好きの少年とのエピソードもうまく描いてあり、アメリカ人の要領のいいお兄さんにかわいがられて成長していく様子もいい。
日本人の飛行機少年は片岡孝太郎(歌舞伎の松嶋屋)。他に伊武雅刀や山田隆夫、ガッツ石松等も出ている。