「僕の伯父さんがここにいたら、きっとそう言うよ」
2024/6/29 「男はつらいよ」公開55周年記念シネマ・コンサート於東京国際フォーラム
全二部構成。第一部トークショー(山田洋次、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、山本純ノ介) 、第二部シネマ・コンサート。
本作を観るのは三度目。初めて観たのは2020年正月、新型コロナウイルスが蔓延する少し前のことだった。その後コロナ禍による外出規制がかかり、時間ができたならばと1週間に1本ずつ、1年かけて全作を観た。
第48作公開後の1996年夏、渥美清はこの世を去った。率直に言えば、「男はつらいよ」は渥美清の死を以て区切るべきだったと思っている。第49作「寅次郎ハイビスカスの花特別篇」、そして本作は位置付けとしては蛇足だ。お世辞にもCGは上手いとは言えないし、本作冒頭の桑田佳祐による主題歌もハッキリ言って山田洋次の職権濫用ではないかとさえ思う。だがこれはあくまでも単体での話。僕にとっては車寅次郎への扉を開いてくれた作品でもあり、全作観終わってから本作に帰ってくると涙なしには観られないのである。シネマ・コンサートとなれば尚更で、最後に情けないくらい号泣した。
信州信濃の蕎麦よりも、あたしゃあなたのそばがいい。あなた百までワシャ九十九まで、共に白髪のたかるまで、もう当たり前のように題経寺の御守を普段からぶら下げているくらいだし、今後も車寅次郎は旅鴉のくせして僕の心に居座り続けることだろう。別にいてくれていい。だが諏訪家を除いて、とらや(くるまや)の面々も、御前様も、源公ももうこの世にはいない。観るたびに懐かしさと寂しさが入り混じる。
最後に、本来は第一部トークショーの司会は北山雅康さんと松野太紀さんの二人で担当される予定でした。しかし6/26、松野太紀は急な病により帰らぬ人に。お悔やみ申し上げます。
倍賞千恵子さん、恐ろしく綺麗だった。恋をしてもいいとさえ思った。