朔也(池松壮亮)は工場での勤務中に母(田中裕子)から電話を受ける。帰ったら大切な話をしたいというのだ。台風のなか家路を急ぐ朔也は、氾濫する川のそばに立つ母を見かける。助けようと思わず飛び込んだ朔也だったが、傷を負い一年もの間、昏睡状態に陥ってしまう。目を覚ますと、既に母は亡くなっていた。そして、母は「自由死」を選んだのだと聞かされる。幸せそうに見えた母が、なぜ自ら死を望んだのかわからない。どうしても母の本心が知りたい朔也は、仮想空間上に“人間”を作るVF(ヴァーチャル・フィギュア)という技術に頼る。開発者の野崎(妻夫木聡)が口にした「本物以上のお母様を作れます」という言葉に一抹の不安を覚えつつ、VF制作に必要なパーソナルデータを収集していく朔也。母の手掛かりを探すうちに、母の親友だったという三好(三吉彩花)と接触する。彼女は台風の被害に遭って避難所生活をおくっていた。朔也は三好を家に住まわせることにし、日常を取り戻していく。やがてVFの母が完成し、VFゴーグルを装着すればいつでも母に会えるようになる。そうして、朔也と三好とVFの母親という奇妙な共同生活が始まるが、VFは徐々に“知らない”母の一面”をさらけ出していく。