花森という男に店をまかされている市雄は、深夜帰宅途中、電柱に手錠でくくられた女をひろった。女は千里と名乗った。そして、二人の奇妙な暮らしが始まった。ある日、二人は新聞で「北川商産カズノコ倒産、北川社長は十五億円抱え失踪」の記事を読んで、お互いに同じ企みを持っていることを感じた。出版社に勤める三崎も下村と北川について話していた。「北川は無事ヨーロッパに着きました」と言う下村に、うなずく三崎。市雄はミスを犯し、国籍がないため店を閉めなければならなくなった。市雄のために花森と言い争う千里。市雄はその帰り、出会ったときと同じように、千里を手錠で電柱にくくって、捨ててきた。その千里を、今度は三崎が拾った。三崎が彼女を連れ帰ったとき、市雄が現われた。こうして三人は出会った。数日後、三崎のところへ下村がやってきた。「三崎さん、あんたがやった十五億円、全部札の番号、控えてあるそうだ。私はこの仕事から手を引く。餞別にいいネタをあげます。市雄って奴は、宗形っていう、べら棒に金持ってる男を知ってます」と話すと去っていった。職のなくなった市雄と千里に、三崎は十五億円を使える金に換える手伝いをしないかと持ちかける。三人は宗形を探しはじめた。そして、千里はうまく宗形のところへ入り込んだ。三人の罠に宗形はジワジワと落ちていく。