社会福祉員を目指す大学生の中井庭子は、恋人の刑事、北にデートに一時間ほど遅れると電話していた。午後、書店で射殺事件が起こり、野呂、村上、北の三人の刑事が現場に向った。そして、三人の被害者の中に、何と庭子がいた。あとの二人は大学教授の雨宮、サラリーマンの遠藤という名が判明。白いブラウスを真赤な鮮血で染めて倒れている庭子の死体に、北は絶望と怒りを覚えた。手がかりは、遠藤が死の間際に“ウドウヤ”と言ったことだけだった。妻に家出されてしまった村上は、八歳になる娘の信が、母代りで家事や、六歳の弟、勉の面倒を見ている。三人の被害者の身辺捜査が始まった。そして、福祉センターで、身寄りがないという嘘がばれてヘルパーが行かなくなっている車崎るいのところに庭子が出向いていたことが分った。るいには非行グループの兄貴株の吾一と、少し頭の弱いみどりという二人の子供かいる。数日後、近所の川の土手でみどりの死体が発見された。射殺事件に関係があるのか。しかし、みどりは堕胎手術後の出血で死亡したことが分った。そして、手術をすすめたのは庭子だった。庭子は、吾一が不憫でならない妹を思わず抱いてしまったことをつきとめ、みどりに堕胎するようにすすめたことが分った。車崎一家は射殺事件に関係ないことが判明、捜査はふりだしに戻った。野呂は、仕事に追われる村上に「子供たちのことも考えたほうがいい」と話す。その頃、遠藤の妻から、殺された主人が、退職金から四百万円を前借りしていることを報告してきた。遠藤は脱サラを企み、「薮十」という蕎麦屋に共同経営者として参加することで四百万円を払っていることが分った。しかし、「藪十」の主人はギャンブル狂で多大な借金に追われ、脱サラを目指す遠藤からその金を騙し取ったのだ。そして、主人は詐欺がバレたことで遠藤を射殺し、二人がそのまきぞえとなったのだ。そして、蕎麦屋のことをうどん屋という大阪で育った遠藤は、最期に“ウドウヤ”と言ったのだ。店をたたみ、逃亡する主人を捕まえたとき、涙を流しながら殴り続ける北を村上はやっとのことで止めた。事件解決を通じて、母に逃げられ父に育てられた庭子や、るいの子供達を見て、二人の子供を育てる村上は、幸福について、しみじみと考えるのだった。