高校3年の猪熊柔は祖父・滋悟郎のスパルタ教育で天才的な柔道少女に育てられていた。父親は10数年前に失踪、母親はその消息を聞く度に捜しに出かけるという生活を送っていた。柔自身は女の子らしく柔道よりもおしゃれに関心があり、普通の青春を楽しんでいた。しかし、ある日町中でひったくり犯を巴投げしたところ、その写真が新聞に載ってしまった。その写真をスクープしたカメラマンの松田が柔を追い始める。一日でスポーツ界のスターとなった柔は柔道部に入部するが、これは孫娘を4年後のバルセロナ五輪で優勝させ、国民栄誉賞を取らせるという滋悟郎の陰謀でもあった。さらに柔のライバルとして負けず嫌いのスポーツ好きのお嬢さま・本阿弥さやかが選ばれ、そのコーチには柔の憧れる風祭がついた。柔は公式戦デビューを完勝で飾り、弱少柔道部も柔のコーチで全国高校選手権の一回戦を勝ち抜いた。4月、柔は三葉女子大に入り、全日本女子柔道選手権へ出場。決勝でさやかを破り、全日本を制した。そしていよいよ柔はロス五輪の柔道選手ラシュワンを頼って、バルセロナへ留学。柔を慕う松田も来ていたが、柔が見たのは父親に似た男の姿だった。