スーパーマーケットの経営者野田善平は、名古屋に出張した時ブルーフィルムを見た。それは善平に浮気ごころを起こさせるのに十分であった。その後、一夜のアバンチュールを楽しもうと善平はそこの若い女の映写係ユキを連れ出した。帰京の予定日が来ても、善平は妻に仮病の電話をかけ、ユキとホテルに泊り続けていた。数日後、善平はユキに金を払って帰京した。善平にとってはただの浮気だった。ところが、ユキが善平の後を追って上京してきたことから、善平は結局、彼女を囲い者にしたのだった。彼は、ユキの存在が妻にバレるのを恐れていたが、そんなある日、東京に働いているユキの幼な友達順一が、ユキを訪ねてきたのである。順一がユキのヒモになるのには、大して時間はかからなかった。一方、善平はユキの要求する金額が増えていくので別れる決心をしたが、ユキと順一の仲を知って逆上し、反対に順一に殺されてしまった。それは過失致死ではあったが、あまりのことに茫然自失した二人は一緒に、善平の死体を自殺に装って、逃走した。そして、善平から無心した金が無くなると、ユキは当然のように売春婦にまでなり下がっていった。そんなある日、ユキは客を装っていた刑事に、売春現行犯で逮捕された。だが、初犯のために間もなく釈放された。一方警察では、ユキが善平の死と関係があることを知って秘かに捜査を始めた。ユキと順一は、善平がユキのために借りていたアパートに帰り、管理人に家財道具を売り払ってくれるように頼んだ。その金で二人はまともな生活に入ろうと思ったのだ。しかし警察からユキが戻ったら通報するように言われていた管理人は交番に走った。間もなく警察に留置された二人の訊問が始まった。ユキは黙秘権を行使したまま、何ひとつ言わなかったが気の弱い順一は、自供すれば罪が軽減されると担当官に言われると、殺人はすべてユキのやったことであり、自分はユキのために一生をめちゃくちゃにされたと自供しはじめたのである。やがて、取り調べ室に入ってきたユキは順一の冷たい眼を見たときすべてを察した。そばにあった机の上のペンを握ったユキの手が、順一の顔面を襲った。ユキは順一の眼を潰してしまったのである。床をころげ回る順一を、ユキは冷たく見下していた。