自動車の修理業をやっている圭三の所へ得意先の佐藤専務が縁談を持ち込んだ。相手は池田泰子という華族の令嬢だが、提灯に釣り鐘だと圭三は問題にしないが、熱心な佐藤に口説かれてとにかく見合いという事になった。さて見合いをしてみると泰子は予想した高慢なお嬢さんでなく圭三はすっかり好きになった。佐藤から結婚承諾の返事を聞いた圭三はものすごい上機嫌。新調の服、新しい靴、派手なネクタイをしめて池田家を訪問した。圭三は泰子の家族の人達に紹介された。皆善い人達ばかりである。だが家族の中で一人だけかけているのは泰子の父の浩平である。浩平は詐欺事件の側杖で刑務所に送られていた。そして池田邸も百万円の抵当に入ってその期間はあと三月だと佐藤から聞いた圭三は金の為の結婚であったかと失望するが、泰子へ対する愛情は深まった。圭三は泰子と帝劇へバレエ見物に出かけ、初めて見る世界に感涙する。その帰途に立ち寄った拳闘試合では泰子も昂奮するのだった。泰子の誕生日を祝って圭三はピアノを泰子に贈った。泰子の弾くショパンの曲が良いのか悪いのか判らない圭三はガラガラ声を張り上げて故郷の民謡を歌った。圭三と泰子は刑務所に父を尋ねた。父の口から「金の為の結婚はするな」と忠告されて泰子の心は重い。そぐわない雰囲気のまま別れた圭三は自分と泰子は違う世界の人らしいと感じた。圭三はその翌日泰子に心の中を打ち明けてくれと頼む。その返事は愛情のない結婚に悩む泰子の姿であった。泰子は結婚すれば愛することも出来ようと考え、圭三に自分のわがままをわびた。披露宴の日。圭三は泰子の祖父達の口から、満州からの引き上げ後死亡した泰子のかつて婚約者の話を聞いて何か惨めな気持ちがわいてくる。圭三は泰子に手紙を残して帰った。田舎へ行くという圭三。泰子は、圭三の弟五郎の運転で圭三を追うのであった。