長年勤めたデパートをリストラされてしまった片栗正男は、「大きな道路が通るから、お客が来るぞ」という知人の言葉を信じ、家族―妻・照江、正男の父・仁平、出戻りの長女・静江、無職の長男・真之、静江の娘・百合恵、愛犬のポチ―と共に人里離れた山の中でペンション白い恋人たちの経営を始めた。だが、待てど暮らせど客は来ない。お陰で一家は崩壊の危機。そんなある日、遂に第一号のお客がやって来た。しかしやけに陰気なこの男、翌朝起こしに行くと自殺していた! ここで警察沙汰にしてペンションに悪評が立ってはと、正男の提案で死体を埋めることにした片栗家の面々。ところがその後、来る客来る客が次々に死んでいく。人気絶頂の力士は腹上死、その下敷きになって恋人は圧死、仁平が谷へ落として殺した筈の静江を騙そうとしていた名うての結婚詐欺師・リチャード佐川もわざわざペンションへ戻って息絶える始末。だが皮肉なことに、死体が増えそれを埋める度に家族の絆は強くなっていくのだった。数日後、片栗家に警察がやって来た。遂にバレたかと覚悟を決める一家。しかし、警察は別のペンションで殺人を犯し逃亡を図った犯人を追跡していたのだ。一時は照江を人質に立てこもった犯人・工藤も、正男の説得で照江を解放、警察に逮捕される。だがその時、ペンションの裏山が大噴火を起こした。逃げまどう片栗家の人々。やがて、正男が気づくと、隠した死体はマグマが全て流し、被害を受けなかったペンションの周りには美しい風景が広がっていた。それを見て大喜びの片栗家。彼らに本当の幸せが訪れた。