テロ事件を起こしたカルト教団“ニルヴァーナ”の施設から保護され、関西の児童相談所に預けられた12歳の少年・光一。しかし、彼の洗脳は解けず、迎えに来た祖父は4つ年下の妹の朝子だけを引き取って行ってしまった。教団の幹部で、指名手配中の母の行方は分からないままだ。そこで、妹を取り戻す為、児童相談所を脱走した光一は、ひょんなことから知り合った同い年の少女・由希と共に東京を目指す。彼女もまた、母親を亡くし孤独な身の上だった。漸く辿り着いた祖父の家。ところがそこはもぬけの殻――祖父は、娘がニルヴァーナの一員だったことが世間に知れ、家にいられなくなったのだ。行き先を失った光一と由希を助けてくれたのは、偶然再会した元信者の伊沢だった。今は洗脳も解け、仲間たちと起業し更生の道を歩み始めていた伊沢のもとで、ふたりはひと時の平穏な日々を過ごす。やがて、伊沢たちによって祖父の居場所が判明した。山間の小さな駅に降り立つ光一と由希。もうすぐ妹に会える。だが、そんな光一に母が集団自殺を遂げたと言うニュースが知らされる。絶望。しかし、光一はそれを乗り越え、朝子を祖父から取り戻すと、由希と3人、明け方の道を歩き出すのだった。