時は文化文政、鬼が跋扈する江戸の町。かつて、幕府が組織した“鬼御門”の副長にして“鬼殺しの出門”と怖れられていた病葉出門。今は、のんびりと浮世を楽しむ中村座の人気役者となっていた彼は、ある夜、世間を騒がせる女盗賊・つばきと出会う。不思議な縁で結ばれた出門とつばき。ふたりは急速に惹かれ合っていくが、つばきにはある秘密があった。実は、彼女は鬼の王・阿修羅の生まれ変わりだったのだ。そんなつばきを探し出し、阿修羅に転生させるべき姦計を巡らす妖かしの鬼女・美惨と、阿修羅の強大な力を欲するあまり美惨と手を組んだ出門の鬼御門時代の仲間・邪空。しかし、つばきの正体を知ってなお彼女を愛する出門は、ふたりの策から彼女を命がけで守ろうと再び刀を握るのだが、それこそが美惨の罠。つばきが阿修羅へ転生するには、彼女が真実の愛に落ちなければならなかったのだ。果たして、出門とつばきの愛が頂点に達した時、彼女は阿修羅へと転生した。業火を放ち、人も鬼も全てを焼き尽くそうとする阿修羅。それを防ごうと、虚空に浮かぶ巨大な阿修羅城へ潜入した出門は、愛と憎しみが交錯する中、阿修羅とあい討ち、城もろとも消滅するのだった。