東京都練馬区の生まれ。日本人の母とオランダ人の父を持つハーフ。10代の初めに雑誌モデルなどの活動を始め、1984年、高林陽一が演出した資生堂の企業CM『遠野物語』で映像デビュー。87年、三井不動産の『リハウス』CMで初代リハウスガールとなり、転校生の美少女・白鳥麗子を演じて全国的な人気を得る。翌88年、菅原比呂志(現・浩志)監督「ぼくらの七日間戦争」で映画初主演。大人たちに抵抗して廃工場に籠城する中学生グループのリーダー格・中山ひとみを生き生きと演じた。この演技によって、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その年、シングル『ドリームラッシュ』で歌手デビューも果たす。トップアイドルの座につきながらも、単なる飾り物的な美少女ではなく、奔放で個性的な面を強調し、89年にはカレンダーでふんどし姿の写真を発表。さらに91年、篠山紀信撮影のヌード写真集『Santa Fe』を突然発売し、大ベストセラーになるなど、絶えず意表を突くかたちで話題を振りまき続けた。テレビドラマでも、その底抜けに明るいキャラクターで次々と主演。フジテレビ『スワンの涙』89、『いつも誰かに恋してるッ!』『いつか誰かと朝帰りッ!』90、TBS『東京エレベーターガール』92などのほか、NHK大河ドラマ『春日局』89、『太平記』91にも出演する。20歳を過ぎると明るい少女役から脱皮し、妖艶な面も見せていく。勅使河原宏監督「豪姫」92では、武術の腕も立ち、知性も教養もあるタイトルロールを演じる。坂東玉三郎監督「天守物語」95では亀姫役。手みやげに人の生首を持ってくるような魔物の姫を演じた。いずれも監督の圧倒的な美意識に貫かれた作品であり、宮沢はその中に埋もれない強い美しさを放っていた。日本テレビのドラマ『西遊記』93では三蔵法師を演じ、10代の時から傑出していた超越感がより深い方向へと発揮されていく。フジテレビ『北の国から'95・秘密』95では、吉岡秀隆演じる純の恋人・小沢シュウ役を演じる。AV出演をしていた過去により純と別れることになるという暗い影を宿した役で、真っすぐ突き抜けた芝居だけではなく、屈折や繊細さも表現できるようになっていく。この間の92年に、大相撲の当時関脇だった貴花田(現・貴乃花親方)との婚約を発表。芸能界と角界の人気者同士の婚約は“世紀のビッグカップル”と話題を呼んだが、翌93年、わずか2カ月で婚約解消が告げられる。以後は宮沢の自殺未遂が報道されたり、東映映画「藏」95からの降板、中村勘三郎(現・勘九郎)との不倫疑惑など、ネガティブな話題ばかりが取り上げられるようになって、拒食症と見られる激ヤセなどもあり、一時期は完全に芸能活動を休止する状態にもなった。2000年代に入ると、体調も回復して活動を再開。01年に主演した香港映画「華の愛・遊園驚夢」で、モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞する。続く02年には、藤沢周平原作、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」で、真田広之演じる主人公・清兵衛に想われる朋恵役で藤沢文学の女性像を演じた。この演技で、キネマ旬報賞、日本アカデミー賞、報知映画賞の主演女優賞、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、日刊スポーツ映画大賞の助演女優賞を受賞する。井上ひさしの戯曲を原作にした黒木和雄監督「父と暮せば」04では、広島で被爆しながらも生き残ったことに辛さを感じる娘が、父の幽霊と対話しながら次第に生きようと思わされていく姿を好演。幽霊というファンタジーな存在が出てくるものの、原爆のリアルな痛みを感じさせなくてはいけないという難役を誠実に演じ切って、キネマ旬報賞、ブルーリボン賞、山路ふみこ映画賞の主演女優賞を獲得した。村上春樹の短篇小説を原作にした市川準監督「トニー滝谷」05では、名パフォーマー・イッセー尾形を相手に現実と虚構の世界を軽やかに行き来する二役。劇団☆新感線の戯曲を原作にした滝田洋二郎監督の時代劇ファンタジー「阿修羅城の瞳」05では、恋をすると鬼になってしまう宿命を持ったつばき役をけれん味豊かに演じた。是枝裕和監督「花よりもなほ」のおさえ役、三枝健起監督「オリヲン座からの招待状」の豊田トヨ役などでは、清楚な日本女性のイメージを体言している。09年には、写真家・操上和美の初監督作「ゼラチンシルバーLOVE」で、死の気配をまとったミステリアスな女性を演じた。舞台での活躍も長い。初舞台は91年の『ジプシー』で、その後も坂東玉三郎演出の『海神別荘』『天守物語』や、『七色インコ』『源氏物語』などに出演し、野田秀樹演出の『透明人間の蒸気』04では読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞している。以後も野田作品には欠かせない女優となり、『ロープ』06・07で紀伊國屋演劇賞個人賞、イプセン作の『人形の家』で読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。テレビドラマはほかに、日本テレビ『ロマンス』99、『一番大切な人は誰ですか?』04、NHK『おいね・父の名はシーボルト』00、『江・姫たちの戦国』11、テレビ朝日『長崎ぶらぶら節』01、TBS『明智小五郎対怪人二十面相』02、フジテレビ『瀬戸内寂聴・出家とは生きながら死ぬこと』05などがある。本木雅弘共演のサントリー『伊右衛門』のドラマ仕立てのCMでの貞淑そうな妻役も長く人気を博すほか、多くのCMで活躍。09年4月、元プロサーファーの男性と結婚。同年、女児を出産した。