矢崎学(伊勢谷友介)は、自分で貿易会社を興し、都会で派手な暮らしに浸りきっていた。自分の結婚式の際には、調教師として厩舎を経営している兄・威夫(佐藤浩市)だけは仕方なく呼んだが、田舎臭い母を恥じて、死んだと偽っているほどだった。そんな家族の元へ、学は13年ぶりに帰ってきた。突然現れた弟を、威夫は訝しく思いながらも、厩務員見習いとして馬の世話をさせる。厩務には”母さん”こと晴子さん(小泉今日子)や女性騎手の牧恵(吹石一恵)がいた。そして馬のウンリュウが学に興味を持ち受け入れてくれる。否定し続けた故郷に学が帰ってきたのには理由があった。会社が倒産したのだ。そんな中、老人ホームで13年ぶりに再会した母(草笛光子)は認知症を患っていた。学は、胸に迫る後悔と悲しみに声もなく涙がこぼれる。一方、兄と晴子の間に何かしらの想いがあると感じた学がそれを口にしても、晴子は首を横に振るだけだった。ウンリュウの世話をしながら学は、やがて馬肉にされてしまう馬に崖っぷちに立たされた今の自分を重ね合わせていく。ウンリュウ再生に賭ける学。そして最後のレースの日がやってくる。