実り豊かな海と土壌に恵まれた瀬戸内海最大の島、淡路島。この島に、農林水産省の地域調査官・神野恵子(栗山千明)が赴任してくる。アメリカから帰国したばかりの恵子は、次官の太田(永島敏行)から“日本の第一次産業の現状をもっと知らなければダメだ”と、命じられて来たのだ。出向先は市役所の農林水産部。早速、調査を開始した恵子は、ベテラン職員の津守(豊原功補)に案内され、漁業組合長の桜井(重松収)が営む海苔の養殖場を訪れる。だが、配慮を欠いた恵子の言葉は、従業員・豊島渉(三浦貴大)の反感を買ってしまう。その夜。創作料理を出すハル(音月桂)の店で、タマネギ農家の四代目、豊島岳志(桐谷健太)と知り合う恵子。岳志は家業を嫌って一度は東京の広告会社に就職したものの、父親の急死を機に島へ戻り、仲間とブランド野菜を特定のルートで販売するビジネスを始めようとしていた。タマネギと海苔。島の山と海を代表する特産物に興味を持った恵子は、畑や養殖場に通い始め、岳志と渉の兄弟間の確執を知る。岳志が東京に出た後、弟の渉は父親と一緒にタマネギを作っていたが、ある時、家を飛び出して海苔の養殖業に転身。そのことを父の葬儀の席で知った岳志が渉を責めて以来、2人は口も利かなくなっていた。そんなある日、恵子は島の伝統作業“かいぼり”の存在を知る。“かいぼり”とは、灌漑用の池の水を抜き、堆積した草木や土砂を取り除く作業のこと。山の栄養が海に流れ、やがて豊かな海のミネラルが畑に還ることから、畑と海の両方にメリットがあったが、15年前から途絶えていた。恵子は痩せてきた海を元に戻すために、かいぼりの復活を主張。関係各所にもその必要性を説いて回る。やがてその熱意が認められ、島を挙げての準備が始まった。そんな中、岳志たちが独占契約していた食品会社が倒産。会社設立の計画が暗礁に乗り上げた岳志は、廃業を決意。島を出ていこうとするが……。