1945年。B29の群れが東京上空を覆いつくし無数の焼夷弾が落下。燃え盛る東京をバックに離陸していく戦闘機「月光」だったが、機数も少なく上昇力も弱いためあえなく敵に迎撃されてしまう。その地獄のような光景を国岡鐡造(岡田准一)はただ見つめているしかなかった……。玉音放送が響く中、銀座歌舞伎座裏に奇跡的に焼け残った国岡商店ビルから聞こえる鐡造の声。「愚痴をやめよ、戦争に負けてすべてを失おうとも日本人がいる限りこの国は再び立ち上がる。日本は石油を求め、石油をめぐる戦いに敗れた。今後この国が復活するためには石油が必要になる。だからこそ我々が働かなければならない」主要燃料が石炭だった時代から、石油の将来性を予感して石油業に邁進してきた鐡造は、戦後、石油の販売ができない時にも誰一人クビにすることなく、ラジオ修理などあらゆる業種に仕事を見出しながら店員たちを鼓舞。GHQや官僚的な石油公団にも屈することなく独自の経営哲学とその行動力により、石油販売網を拡大していくのだった。だが、やがてアメリカ石油資本のメジャーは鐡造を警戒し敵視するようになり、その圧倒的な包囲網で国岡商店の石油輸入ルートはすべて封鎖されてしまう。そんな八方塞がりの状況の中、鐡造は国岡商店の至宝である「日承丸」をイランに送ろうとしていた。しかし、イラン石油を輸入することは英国を完全に敵に回すことでもあった。英国の圧力により貧困にあえぐイランと自らを重ね合わせ、既得権益に胡坐をかく米英らメジャーとの本当の意味での戦いに突入する国岡商店。果たして、日承丸は英国艦隊の目をかいくぐり無事に日本に帰還することができるのか……。