1990年代初頭のパリ。HIV/エイズの脅威は特に若い世代を中心に広がっていたものの、政府も製薬業界も対策に本腰を入れず、社会的にもHIV感染者に対し偏見や差別が持たれるようになっていった。そんな中、不安に駆られる感染者だけでなく恋人や家族など身近な人が感染し対策を訴える者、問題意識を持った者たちが活動団体ACT UP - Parisに集まり、エイズ患者やHIV感染者への不当な差別や環境を改善するため、デモ行進や政府・製薬会社への抗議、高校での性教育などの活動を行っていた。彼らにとってこの団体は本音を語り合える疑似家族のようなものであり、活動に参加することは個人の支えにもなった。この団体に新しく加わったナタンもまた、HIV陰性ながら積極的にミーティングや示威活動に参加していく。グループの中で最も行動派であるHIV陽性のショーンは、温和な活動だけでは現状を変えられないと主張。偏見や無関心さを前に、血液に見立てた真っ赤なペンキを製薬会社のオフィスにまいたり、許可なく学校を訪れコンドームを配ったりと、彼らの活動は日に日に過激になっていった。内向的なナタンはやがてショーンに惹かれるように。ナタンに差別的な言葉を投げつけた女子学生に見せつけるようにショーンが彼にキスをしたことから、二人は距離を一気に縮める。死への恐怖に抗うように生を謳歌し、互いを求めあう二人。しかし一向に治療薬の開発は進まず、ショーンの身体は病魔に蝕まれていく。