73年6月、朴軍事政権下の韓国から亡命し、日本で故国民主化の為に精力的な活動をしていた金大中を拉致暗殺せよとの至上命令を受けた駐日韓国大使館一等書記官・金車雲らは、いよいよそれを実行に移そうとしていた。名付けてKT作戦。その作戦に、朴大統領と陸軍士官学校時代から繋がりを持つ自衛隊陸上幕僚二部部長・塚田によって、民間興信所を開設しKCIA(韓国中央情報部)にサポートするよう命じられた陸幕二部所属の富田は、様々な手を使って金大中の行方を追うが、その度に、大使館内部の密通者に偽の情報を掴まされてしまう。そんな中、彼は金大中の取材に成功していた夕刊トーキョーの記者・神川に接近し、遂に金大中が8月9日に自民党で講演を行うとの情報を入手。報を受けた金車雲は、それを機に作戦を実行しようとする。ところが、またしてもその計画が漏洩し、神川を通して週刊誌にスクープされてしまった。この事態に、KCIAは金大中が講演の前日に日本滞在中の民主統一党党首・梁宇東を訪ねる機会を狙って、強行手段に打って出ることに。そしてそこには、自衛隊関与の疑惑を恐れた上官から一切手を引くように言い渡されながら、想いを寄せる韓国人女性・李政美の手術費用を協力費として金車雲から受け取った富田の姿があった。予想外の展開があったものの、金大中拉致に成功する金車雲たち。彼らは、用意してあった船で故国へと走り出すが、アメリカの要請を受けた自衛隊によって計画は阻止されてしまうのだった。その後、上官から退官を命じられた富田は、金車雲を心配して全てを神川に告白。李政美と田舎で暮らすそうとするが、一発の銃弾によって命を奪われる。