九州柳川から文学を志し上京した北原白秋(大森南朋)は、隣家の美人妻・俊子(松本若菜)に気もそぞろ。逢瀬を俊子の夫に見つかり姦通罪で入獄されてしまう。白秋の才能を眠らすまいと与謝野鉄幹(松重豊)・晶子(羽田美智子)夫妻が奔走。白秋は釈放されるが、恩も顧みずのうのうと俊子と結婚する。だが俊子は家出、白秋は入水自殺を図るが蟹に足を噛まれ断念する。そんななか、日本の子供たちに日本人による“童謡”を創ろうと決起した鈴木三重吉(柳沢慎吾)は奇抜な詩で名を馳せていた白秋と、ドイツ留学を経て日本で初めて交響楽団を結成した音楽家・山田耕作(AKIRA)に童謡創作の白羽の矢を立てる。当初は才能がぶつかり反目する二人だったが、大正12年、関東大震災の惨状を前に打ちひしがれた子供たちを元気づけるため、手を取り合い数々の童謡を発表。しかし、戦争の暗雲が垂れ込めるなか、子供たちを戦場に送り出す軍歌を創るよう命じられた二人は苦悩の淵に立つのだった……。