小さな市役所に勤める牧本壮(阿部サダヲ)の仕事は、人知れず亡くなった人を埋葬する“おみおくり係”。故人の思いを大事にするあまり、つい警察のルールより自身のルールを優先してしまい刑事の神代(松下洸平)に日々怒られている。そんなある日、牧本はひとりで亡くなった老人・蕪木(宇崎竜童)の部屋を訪れ、彼の娘と思しき少女の写真を発見する。そんななか、県庁からきた新任局長・小野口(坪倉由幸)は“おみおくり係”の廃止を決定。牧本は蕪木の一件が最後の仕事となるのだった。写真の少女探しと、一人でも多くの参列者を葬儀に呼ぶため、わずかな手がかりを頼りに蕪木のかつての友人や知人を探し出し訪ねていく牧本。工場で蕪木と同僚だった平光(松尾スズキ)、漁港で居酒屋を営む元恋人・みはる(宮沢りえ)、炭鉱で蕪木に命を救われたという槍田(國村隼)、一時期ともに生活したホームレス仲間……。やがて牧本は、ようやく写真の少女で蕪木の娘・塔子(満島ひかり)に辿り着く。蕪木の人生を辿るうちに、少しずつ変化が生じていく牧本。そして彼の“最後のおみおくり”には、思いもしなかった奇跡が待ち受けていた……。