太陽を盗んだ男

たいようをぬすんだおとこ|The Man Who Stole the Sun|----

太陽を盗んだ男

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レビューの数

93

平均評点

81.8(596人)

観たひと

909

観たいひと

92

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1979
公開年月日 1979/10/6
上映時間 147分
製作会社 キティ・フィルム・コーポレイション
配給 東宝
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督長谷川和彦 
脚本レナード・シュレイダー 
長谷川和彦 
原案レナード・シュレイダー 
製作山本又一朗 
プロデューサー伊地智啓 
撮影鈴木達夫 
美術横尾嘉良 
音楽井上尭之 
音楽プロデューサー多賀英典 
録音紅谷愃一 
照明熊谷秀夫 
編集鈴木晄 
助監督相米慎二 
スチール安保隆 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演沢田研二 城戸誠
菅原文太 山下満州男警部
池上季実子 沢井零子
北村和夫 田中警察庁長官
神山繁 仲山総理大臣秘書
佐藤慶 市川博士
伊藤雄之助 バスジャック犯人
風間杜夫 プロデューサー浅井
水谷豊 交番の警官
西田敏行 サラ金の男
小松方正 サラ金の係員
汐路章 水島刑事
森大河 佐々木刑事
江角英明 田中の部下江川

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

原爆を作りあげ国家を脅迫する中学の物理の教師の姿を描く。脚本は「ザ・ヤクザ」のレナード・シュレーダーと「青春の殺人者」の長谷川和彦の共同執筆、監督も同作の長谷川和彦、撮影は鈴木達夫がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

東海村の原子力発電所が一人の賊に襲われた。警察庁長官の「盗難の事実は一切ない」という公式発表に山下警部は疑問を抱いていた。その頃、中学の物理の教師、城戸誠は、自分の部屋で、宇宙服スタイルで原爆を作っていた。城戸は完成した原爆の強大な力で、警察に「テレビのナイターを最後まで放映しろ」と要求、連絡相手を山下警部に指名した。何故なら、東海村襲撃の下見をかねて生徒たちと原発を見学した帰り、機関銃と手榴弾で武装した老人にバスジャックされたとき、生徒を救出し、弾を受けながら犯人を逮捕した男が山下で、教師に飽きた自分と比べ、仕事に命を張った山下に魅力を感じたのだ。その日のナイターは最後まで放映された。犯人の第二の要求は麻薬で入国許可の下りないローリングストーンズ日本公演だった。次に城戸は原爆を作るのにサラ金から借りた五十万円を返すために五億円を要求した。金の受け渡しに犯人と接触出来ると、山下は張り切った。金を受けとったとき、警察に包囲された城戸は、札束をデパートの屋上からばらまいた。路上はパニックと化し、そのドサクサに城戸は何とか逃げ出す。やがて、城戸は武道館の屋上で山下と再会、二人はとっくみ合ううち、路上に転落、山下は即死するが、城戸は原爆を抱いたまま木の枝にひっかかって命びろい。タイムスイッチのセットされた原爆を抱いて街を歩く城戸。そして城戸の腕の中で、強烈な光が……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2018年8月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第2弾 1970年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

2015年2月上旬号

【巻頭特集】菅原文太 一番星になった男:「太陽を盗んだ男」インタビュー 長谷川和彦[監督]

2001年10月上旬号

キネ旬DVDコレクション:「太陽を盗んだ男」

1980年5月下旬号

大黒東洋士氏の「太陽を盗んだ男」批判に答える:

1980年4月下旬号

「太陽を盗んだ男」はベスト・テン上位になるような作品か?:

1979年11月下旬号 創刊60周年記念特別号

キネ旬試写室:太陽を盗んだ男

1979年10月下旬号

「太陽を盗んだ男」特集インタビュー:長谷川和彦 「太陽を盗んだ男」は要求のない時代に生きるおれ自身のメッセージだ

1979年10月上旬秋の特集号

グラビア:太陽を盗んだ男

日本映画紹介:太陽を盗んだ男

1979年9月上旬号

グラビア:太陽を盗んだ男

2022/07/04

2024/11/16

78点

テレビ/有料放送/WOWOW 


 「ザ・ヤクザ」のレナード・シュレーダーと「青春の殺人者」の長谷川和彦の共同脚本で、長谷川和彦が監督したクライムアクション映画。
 主演は当時大人気のシンガー沢田研二で、彼が演じたのは原爆を作りあげ国家を脅迫する中学の物理教師だ。
 大学紛争が終焉し、三無主義が若者に蔓延する時代に、体制に糾う一人の男の姿は若者たちに共鳴した。本作品が今もカルト的に人気を持つもはそのような背景かもしれない。
 私は当時そんなに面白いと思わなかったが、観返して見ると若者を具現化した沢田と体制側を具現化した菅原文太の刑事との対決がなかなか良くできていた。

 「青春の殺人者」と本作で若者たちから絶賛の嵐を得た長谷川和彦監督は、この後映画作品を発表していないのは残念だ。

2024/08/07

90点

選択しない 


邦画史上、屈指の怪作

中学の理科教師の城戸(沢田研二さん)が原爆を作る荒唐無稽な物語である。
唯一の被爆国である日本で、このような映画を製作するのは不謹慎極まりないと率直に思います。
反面、タブーの殻を破った怪作と言えなくもない。我が国日本に落とされた原爆とはどのようなものかの大まかな概要を知ることが出来るのは興味深い。

主人公城戸は、「原爆は誰にでも作れる」と嘯いてる。劇中では見事完成させているが、アパートの一室でプロトニウム239から生成して、核となる金属プロトニウムにするのは不可能である。
作業中に放射能で即死することであろう。
そもそも茨城の東海村の原発に侵入して、プロトニウム239を盗み出すことが現実離れしている。
中学の理科教師が銃を持って、原発を警備する作業員を撃つのもありえないし。。

リアリティという面では全くない作品なのだが、主人公城戸のキャラには興味を引かれた。
原爆を持つことで力を得て、国家と交渉して振り回す様はアメリカと被って見えてしまう。いや、アメリカそのものである。
実は私は本作を高く評価したい。核分裂の理論を構築した科学者達は否定しない。何故なら、核分裂は平和利用しようと思えば出来るからだ。しかし
殺戮兵器として使用するのは狂気の沙汰としか思えない。狂っているから原爆を作れるという核保有国への非難を描写してると思えてならない。
原爆を脅しにして、プロ野球のナイター中継の延長や、ローリングストーンズの日本公演開催の要求と、稚拙な要求は核保有国が他国を言いなりにさせる様と同じであると感じる。

本作の人物相関も見所があった。主人公城戸と対峙したのが山下刑事(菅原文太さん)で、切った張ったの演技をさせると天下一品であった。息絶えようとするシーンなんかは、出色であった。
アクションシーンが西部警察みたいだったから、菅原文太さんの存在は、大きかったはずです。

沢田研二さんと菅原文太さんの対立軸が鮮明だったし、そこがしっかりしていると映画は自ずと面白くなると思いますね。

2023/09/23

2023/09/23

70点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 


こんな装備でいいの?

中学の理科の教師が何を思ったか原爆を製造し。国家を強迫する。
城戸誠(沢田研二)はプルトニウムを盗み出し、自宅のビニール製のラボで精製を始める。このあたりは妙にリアルであるがウソっぽい雰囲気も漂う。こんな装備で被爆しないのかと言うほどのチャチさ。しかも野良猫が被爆してお陀仏となる場面もある。
国家を強迫するが、何が目的とも定まっていない。手始めにナイター中継の延長をさせるとこれがうまくいく。次は来日中止となったローリングストーンズの公演復活をさせる。
行き当たりばったりの要求で、これといった思想信条に基づく原爆製造ではない。国家に騙されないように交渉相手には以前一緒にバスジャックを退治したときの山下刑事(菅原文太)を選ぶ。そして人気DJの沢井零子(池上季実子)が関わりを持ち、いよいよ5億円という金を要求し始める。しかし、彼は髪の毛が抜けたり、歯茎から出血したりと被爆の兆候が現れてくる。
最後がどうなったって?それは見てのお楽しみ。
山下と城戸の電話逆探知を巡る駆け引きや、音声分析できないように自作のスピーチプロセッサーを用いるなど科学的には面白いところを突いている。せっかく回収した原爆を警視庁かどこかのビルに運び込んでいるのも脇が甘い。そこをターザンよろしくガラスを破って飛び込んでくるが、どの高さから飛び込んだのか、どうやって逃げられたのか非常に曖昧。ここが整理されていたらもっと完璧だったのに。それを言うなら東海村からプルトニウムを盗み出す場面も警備が甘すぎる。ここいらも見せ場になるのになあ。

2023/08/06

2023/08/06

-点

VOD/U-NEXT/レンタル/PC 


我は死神なり。世界の破壊者なり。

太陽を盗んだ男(1979)
「原爆は誰にでも作れる。この太陽の力を君たちの手に取り戻したとき、君たちの世界は変わる」

8月6日の鑑賞。敢えて攻めた。
私事だが幼稚園〜小学校1年生の間、僕は父の仕事の関係で広島に住んでいた。平和祈念式典にも参加したし、原爆資料館も見学した。25年も前のことだ。
昨今、「残酷すぎる」という理解しがたい理由で「はだしのゲン」が学校の図書館から一掃され、同じ理由で原爆資料館の展示も変更されたらしい。かつての展示を知る者からすると「ご冗談を」というレベルでマイルドになったそうだ。挙げ句の果てには昨今の「バービー」騒動。世界初の原爆投下という惨禍から78年が経過し、残念ながら記憶も記録も薄れていってしまっていると言わざるを得ない。
そんなもんで、今年の平和祈念式典も例年通り観たが、悲しいことに平和へのメッセージが全く中身のない言葉の羅列へと成り下がってしまっていた。「このままではダメだ」と思い、敢えて毒リンゴを口にした。
本作を初めて知ったのは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009)でBGMが引用されていたことだった。以来、あらましは知っていて観よう観ようと思っていたが踏ん切りがつかないままだった。
蓋を開けてみれば、まさにパンドラの匣を開けたような映画で、社会人レベルは平均以下の中学理科教師が、並外れた行動力で東海村の原子力施設からプルトニウム239を盗み、自力で原爆を製造してしまう過程での人間の変貌がありありと描かれていた。「狂気」以外の何と表現するべきか?コイツは「時計じかけのオレンジ」(1971)のアレックスと同じで、特に社会に対して主張があったわけでもなく、ただ純粋に自分の興味関心に愚直なまでに従っただけなのだ。それが救いようのない展開を生み出してしまった。文明や科学はいつだってそうだ。快適な世界を目指して歴代の最高の頭脳が結集し、最後は殺しの道具に使われるのだ。
最近何かと話題のオッペンハイマー博士は生前、現実世界に使うことのできない兵器を見せて、戦争を無意味にしようと考えていたが、人々が新兵器の破壊力を目の当たりにしても、新兵器を今までの通常兵器と同じように扱ってしまったことに絶望したらしい。

感想の最後は、以下の言葉で締めくくる。
「我は死神なり。世界の破壊者なり」〜『バガヴァッド・ギーター』第11章32節より

2023/07/30

2023/07/30

80点

テレビ/有料放送/WOWOW 


沢田研二がカッコいい。音楽も最高

ジュリーが最高にカッコよかった時代が切り取られている。井上堯之の音楽も憂いを帯びて素晴らしい。
ジュリーの要求も当時の世相が垣間見えて懐かしい。ストーンズがまだ日本公演できず、プロ野球中継をみんながテレビにかじりついていた頃。巨人のピッチャーが加藤初で広島は江夏w 渋谷東急や皇居など、許可取って撮影しているのか心配で、、首都高爆走するマツダRX-7のルーフから乗り出した池上季実子も危なくて心配で、、当時の映画作りはスタッフも俳優もみんな命懸けだなと改めて再発見。
菅原文太も飛行中のヘリにぶら下がったり、リアル銭形警部状態で迫力満点。必見作

2023/05/04

2023/05/04

85点

その他/録画WOWOW 


原爆を作る

ネタバレ

 中学校の理科の先生である城戸誠(沢田研二)が、プルトニウムを盗み出し、原爆を作り、政府に要求を突き付けていくが…という話。

 この頃は、ナイターは終了時間が決まっていて、いい試合に限って伸びると途中で打ち切りだったから、延長しろというのは確かにそう思っていた人は多かった気がする。また、ザ・ローリング・ストーンズ公演は、ミック・ジャガーの逮捕歴で公演中止だったようだから、それを公演させろ、というのもみんな思っていたかも。

 ずっと、観ようと思っていて、やっと観ることが出来たが、古さがあるけれども、物凄いエネルギーを感じる、この時代ならではかもしれない。

 原爆を作るという事も、皇居前で、バスジャックする事件が起こったことを映画にすることも、今ではタブーだろうし、よくこういうものを作れたと思う。

 監督の長谷川和彦が、胎内被曝者ということで、こういう流れにしたとのこと。段々毛が抜けたり、ラストのタイムアップも強い印象に。単なる、アクション映画を越えたメッセージになっている。「青春の殺人者」も過激だった気がするが、こちらも負けず劣らず確かに凄い熱量だと思う。

 菅原文太の山下警部、あの喋り方は、この人にしかできないだろう、やくざ映画が体に染みついているからだろうけれども。

 風間杜夫とか水谷豊が、一瞬出るのもやっぱりこの時代ならではかと。

 沢田研二は、ちょうどこの頃、“TOKIO”とか歌っていて、時代の寵児という感じだった。そのままに、ここでもノリにノッテいたと思う。