主人公の男は地下鉄の駅員。家に帰れば口やかましい女房、喧噪の中の仕事、単調な毎日に無気力になっている。何かを変えようとしながらうまく行かない。そんなある日、男は暴漢に襲われている少女じゅんを助け、家まで送っていく。別の日、勤め帰りに酒場に立ち寄り、そこで酔っ払いとやくざの小ぜりあいにまき込まれて右手を怪我した。駅前の噴水で血を流していると、不思議な少女みくが近寄って来た。みくは男を水のないプールへ連れて来て裸になる。しかし男はみくに手も触れずに去っていく。男はその足でじゅんの部屋へ忍び込もうとするが気付かれ、戸締りをするように注意して出てゆく。夏休みのある日、男は息子の昆虫採集で使う注射器を見ていて、女を昆虫のように薬で眠らせることを思いつく。男は身分を偽り、遠くの薬局から大量のクロロホルムを手に入れ、侵入に必要な道具を買い揃えた。男はまず、じゅんのアパートで実験してみる。窓の隙間から注射器でクロロホルムを注入し、じゅんを眠らせた。この成功に味をしめて、かねてから目をつけていたフルーツパーラーの店員ねりかの部屋へ侵入する。自分は昏倒しないように防塵マスクで身を堅めてねりかを犯す。犯した後で男は朝食の用意や洗濯までしてねりかの部屋を出た。男はポラロイドカメラを買い、犯した女を撮っていた。しかしその写真を同僚に見られ、それをきっかけにして地下鉄をやめた。狂気のおもむくままに侵入と暴行をくり返す男は、生き生きとしていた。ねりかはうす気味悪い思いをしていたが男を待つようになる。ある夜、友だちを三人と寝ているねりかの部屋へ侵入した男は、そこにあったシャボン玉を吹こうとマスクをはずしたため、クロロホルムを吸って昏倒してしまう。男が目覚めると、警察に通報されていた。男の夢は終わったかに見えた。しかし何故かねりかは告訴を取り下げた。男は再びみくのいる水のないプールに立った。みくの吹くシャボン玉はふわふわと上っていった。