弘前中央署に、札幌署から堂垣内と佐藤の二人の刑事が訪ねて来た。彼らの依頼は、二年前札幌でおきた現金輸送車襲撃事件の証拠として残されたりんごの種の品種分析である。早速、片山刑事が二人をりんご試験場に案内したが、りんごの種から品種分析することは不可能であった。失意の二人を誘って入った喫茶店は、片山が今朝出会った少年たけしの母親・澄江の店であった。札幌に帰る二人を駅に見送った片山は、定年間近い堂垣内への同情から、りんごの種を預かることにした。駅を出た彼は、堂垣内を札幌から追いかけて来たという、北海道タイムスの記者、玉垣に声をかけられる。翌朝、再びりんご試験場を訪ねた片山は、所員の忍にりんごの種の栽培を頼む。毎日通ううち、片山は彼女に好意をいだくようになり、やがて種が芽を出した。ある日、二人は十和田湖でデートし、その夜初めて結ばれる。次の日、送られてきた北海道タイムスに、芽を出したりんごの種の事が伝えられていた。そこに忍から双葉が開いたという電話、彼女はこの双葉が紫色の花だったら素晴らしいと告げる。その夜、りんご試験場の研究室が荒され、現場に駈けつけた片山は忍の死を報らされる。北海道タイムスの記事が、現金輸送車襲撃事件の犯人を刺激したらしい。犯人が北海道にいるとにらんだ片山は、札幌に向った。彼は忍が話した紫色のりんごの花が気になってしかたがない。手がかりは得られず、弘前に戻った片山に自宅謹慎の辞令が待っていた。その間トレーニングに励む片山、そこには彼の蟷螂挙の型を一所懸命にまねるたけしの姿もあった。ある日、たけしは片山を自宅に誘う。そこで澄江は、暗く哀しい自分の過去を話しだした。次の日の夜、署に訪ねてきたたけしを送った片山は、家の中庭に紫色の花を咲かせているりんごの木を見つける。すべてを話し出す澄江。翌深夜、澄江の家の前に一台の車がとまり数人の男達がおり立った。彼らは、口封じのため現金輸送車襲撃事件の共犯である澄江を殺そうとする若本たちだった。片山の怒りの拳が犯人たちを倒し事件は解決した。澄江は自首をし、片山は孤児院にたけしを送った。