秋祭りもたけなわで、寅次郎は柴又に半年近くも帰っていない。その頃、帝釈天の境内を散歩していた御前様は、ベンチでふさいでいた外国人を見つけた。英語の苦手な御前様は、さくらに頼んで満男の通う英語塾の女子大生、めぐみ先生に来てもらった。彼女の話では、この外国人はマイケル・ジョーダンと言い、ビタミン剤のセールスに日本へ来たが商売はうまくいかず、無一文になってしまったそうだ。そんなことで、マイケルは“とらや”に転がり込むことになった。おばちゃんがビフテキを作ってご馳走しているところに寅次郎が帰ってきたから大変だ。「俺にはイモしか食わせないのに」と寅とマイケルはとっくみあいの喧嘩となった。めぐみと母親の圭子がやってきて何とかその場は収まったが、二人は面白くない。しかし、寅は圭子の美しさにソワソワしだし、おまけに彼女の夫は交通事故で亡くなったと聞いたので、“とらや”一同はまた恋の病がはじまったと心配顔。しかし、マイケルと寅は怒りがおさまらず別々に旅に出てしまった。その二人が伊豆でバッタリ出会い、憎み合っていたのも忘れ、旅は道づれということで意気投合しての二人旅がはじまった。うちとけたところで、マイケルが寅に「ワタクシは寅さんの妹のさくらさんが大好きです」と語る。これには寅も驚いた。「さくらは亭主持ちたんだ……」と説明するが、マイケルの気持は変わらない。そんなマイケルの情熱に、寅も圭子の顔を思い浮かべた。数日後、二人は再び柴又に戻った。ある日、マイケルがさくらに胸の内を伝えると、彼女はめぐみに「私は夫を心から愛している」と話してもらう。ふられたマイケルは帰国を決心する。一方、寅もめぐみに圭子に対する愛を伝える。だがめぐみの答えは「私にはお父さんは一人しかいないのです」とやさしく言われ、寅は例のごとく故郷柴又を後にして南に旅立つのでった。