万延元年(1860年)、日米修好使節団の護衛艦としてサンフランシスコに到着した咸臨丸には、重大な使命と野心を抱いた二人の男が乗り込んでいた。通弁見習いの上條健吉は、実は攘夷派の急先鋒・水戸の脱藩浪士で、開国派の井伊大老が派遣した使節団のメンバーを暗殺し条約を阻止するのが目的だった。勝麟太郎艦長の下僕として乗船した為次郎は、実は軍艦奉行・木村摂津守が雇ったお庭番、つまり“忍術使い”であった。咸臨丸がサンフランシスコに到着し、その記念式典で賑わう最中に、咸臨丸から運び出された三千両の小判を狙って、強盗のガス・テイラー一味が銀行に押し入った。たまたま砂金の換金に来ていた山師親子の父親は巻き込まれて射殺され、小判を運んでいた為次郎らは殴り倒された。銃口を突き付けられた上條は隙を見て反撃したが、結局三千両は強奪されてしまう。父親の敵討ちを誓うサムとともに上條は強盗一味の後を追った。三千両を持ち去られ、刺客と勘づいていた上條をも見失った為次郎は、甲賀忍者のメンツにかけ、一カ月の期限付きで追跡の旅に出ることになった。誤って捕らえられた牢獄で、為次郎はクロウ族の娘ナンタイと意気投合し、さらにはサンフランシスコ保安官助手のバッジを与えられ、改めて彼女を連れて出発する。上條は、サムに暴力教師ハーディを助太刀に紹介され、彼の生徒たちも交えて、ガスのいるニューメキシコの鉱山町・ユニコーンへ向かった。途中、上條は為次郎と合流し、この場は協力するという話がまとまって、ユニコーンでやっとのことで強盗たちを見つけだす。酒場でハーディが撃たれたのをきっかけに、激しい銃撃戦の火蓋は切って落とされた。ハーディに致命傷を負わせたキトーを上條が殺し、逃げていくガスを見つけたサムは、上條に習った剣術で父の仇を討った。三千両を取り返した為次郎とナンタイはさっそく返還に向かう。街では、ハーディの葬式が英雄を称えるように行われていた。上條は任務を果たすためワシントンを目指すが、ふと後方を振り返ると、そこには暗殺の助太刀にと追ってきたサムがいた。時は流れ、インディアンの大酋長となった為次郎は、ナンタイと彼が育んだ大家族たちに見届けられ、134歳まで生きたのだった。