1970年代初頭。父親を亡くし、山の中の全寮制中学校“独立学院”に転校した道夫は、音楽室で“ウィーン少年合唱団”に入団するのが夢だと言う美しいソプラノを持つ少年・康夫と出会う。康夫は、吃音症の道夫に何かと親切にしてくれ、彼を学院の合唱団の顧問教師・清野に引き合わせる。清野によって、歌っている時は自分がどもらないことに気づいた道夫は、合唱団に入団。歌うことで自信を持ち、康夫との友情も深めていく。だが、そんな彼らにショッキングな出来事が起こる。東京で学生運動をしている清野の後輩・里美が彼らの眼前で壮絶な爆死を遂げ、更に変声期を迎えた康夫の声が出なくなってしまったのだ。コンクール出場を控え、苛立ちを押さえきれない康夫。やがて、彼はコンクール優勝への闘志と里美から影響を受けた学生運動へのそれを重ねるようになり、彼の声の代わりを務めてくれた道夫と共に暴走を始める。だが、コンクールの結果は3位に終わった。それから暫く後、優勝と革命への希求に挫折した康夫がトラックで事故を起こし、逝ってしまう。その時、彼の脳裏には道夫と共にコンクールで熱唱する自分の姿があった。