美しさも富も名声も、全て自分が一番でなければ気が済まない“がらさ城”の城主・安土桃山。推定年齢100歳のびるぜん婆々の予言によって、将来、世継ぎ・雨千代の美貌が自分より勝ることを知った彼は、躊躇うことなく実子を快羅須山に捨てるよう手下の駝鳥道士に命じる。ところが、快羅須山に向かう途中の狸ヶ森で、美しい娘に助けられた雨千代は彼女と恋に落ちるも、何あろう、彼女こそ唐の国から狸御殿に招かれた狸姫だったのである。しかし、狸と人間が恋に落ちることなど御法度。雨千代は、姫の身を案じるお萩の局に御殿の牢屋に閉じ込められてしまう。一方、がらさ城。未だ変わらぬ予言に苛立ちを隠せない安土桃山は、雨千代を愛した狸姫を同罪と見なし、彼女の命を奪う。悲しみにくれる狸御殿の狸たち。姫を救うには、霊峰・快羅須山にあると言う“極楽蛙”の鳴き声を聞かせるしかない。それを知った雨千代は、快羅須山へと赴くと、命と引き換えに極楽蛙を捕まえることに成功、お萩の局に蛙を託すと、快羅須山に没するのであった。お陰で姫の命は救われ、安土桃山もふたりの愛の力の前に屈した。だが、雨千代の死を知った狸姫は、再び彼の後を追って自害する。しかし、狸たちの願いがかつて安土桃山によって快羅須山へ放逐された雨千代の母=光の女人に届き、愛の力で、ふたりは生き返ることが叶うのであった。