高校2年生の嘉瀬志摩(桐谷美玲)は、文芸新人歌壇賞を最年少で受賞した将来を期待された歌人。だが、学校ではみんなと同じでいたいという気持ちから、その事実を隠していた。また、彼女は同級生の鏑木健人に想いを寄せていた。ある日、健人から告白されて交際を始めることになるが、突然の夢のような出来事に戸惑う。家では短歌の師匠でもある母親みお(高島礼子)から、季刊誌に掲載するために、“誰か”を想う気持ちを詠んだ短歌30首を依頼される。今まで考えたこともなかった課題に悩む志摩。自分は健人をどう思っているのか……。そんな時、健人に迫られ、思わず逃げ出してしまう。これがきっかけで2人の間は気まずくなり、ついに別れが訪れる。その上、志摩が歌人であることを知っていた健人から、秘密にしていた理由を問い詰められ、何も言い返せない。母から依頼された短歌も詠めず、仲の良い叔母に苦しみを吐き出すものの、状況は変わらない。数日後、叔母宅を訪れた志摩は、2つ年上の幼なじみで大学生の航大(三浦貴大)と再会。彼に自分の心の内を打ち明け、優しく慰められる。だが結局、依頼されていた短歌は、母の厳しい批判を受ける。その結果については自分でも理解していたものの、本心とは裏腹に“誰かを想う気持ちなんかわからない。短歌なんて恥ずかしい。”と言い放ってしまう。すべてに嫌気がさした志摩は、富山の祖母に会いに行くという航大に、傷心を癒すため、群馬の“霧見の滝”に連れて行ってくれるよう頼む。だが2人で向かった滝で、大事な短歌ノートを志摩が滝に落としてしまったことから、一泊する羽目に。2人きりの夜。抱いてほしいと仄めかす志摩に航大は背を向ける。翌朝、気まずいまま富山へ向かう2人。その途中、自分の航大への気持ちに気づき始める志摩。初めて誰かを想う気持ちを短歌に詠むのだが……。