昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。破天荒で不器用なヤスは愛妻・美佐子(麻生久美子)の妊娠に喜びを隠せず、姉貴分のたえ子(薬師丸ひろ子)や幼馴染の照雲(安田顕)からは茶化されている。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、家族は何よりの憧れだった。生まれた息子にアキラと名付け、アキラのためにも生業の運送業にも精を出すヤス。とんびが鷹を生んだと町の人々に囃されるほど愛らしい息子と美佐子との3人で仲睦まじく暮らしていたが、そんな幸せが美佐子の事故死により脆くも散ってしまった。母の死を理解できないアキラに、自責の念に駆られ悲しみに沈むヤス。町の人々に叱咤激励され、周囲の温かな手を借りながら、我が子の幸せだけを願いアキラを育てた。しかしある日、アキラは誰も触れようとしない母の死の真相を知りたがり、ヤスは大きな嘘をつく。